明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常11 エンドレス点滴

こんにちは。

今日は朝から夏の空。私の住む地方も、ようやく梅雨明けしたようです。来週は、35度ぐらいまで気温が上がる予報もあるので、今度は、熱中症対策も本格化させないといけないですね。

ワクチン接種の副反応は、ほとんど出ずに第1回目が終わったようです。

ただ、色々と経験者の話を聞いていると、2回目の方が強い副反応が出る人が多いようですね。

昨日の記事を読んで、「ワクチン接種、遅いなあ」と感じられた方がいらっしゃるかもしれませんね。これは、現在進行中の治療とのタイミングの関係で、しょうがなかったのです。この治療もまだ始まったばかりで、どのような副作用やアレルギーが出るかわからないため、主治医の先生とも相談して、コロナのワクチン接種と同時並行で進めるのを避けたわけです。

 

さて、話を2014年に戻しましょう。

昨日書いたように、まず私が受けたのは超大量化学療法。「超大量」ってどんな日本語だ??という感じもしますが、とにかく、すごい量の抗がん剤が投与されるようで、これは、ちょっと緊張しますよね。

翌日、それは早速始まりました。しかし、「これがスケジュールです」と渡されたメモを見て、最初は冗談かと思ってしまいました。様々な薬と、それを点滴で入れていくのに必要な時間が書いてあったのですが、合計すると21時間。つまり、朝9時からスタートして、次の日の朝6時までぶっ続け。さらに、3時間休憩してから、もう一度同じことを繰り返す、ということで、2日間で合計42時間、ずっと薬が体に入ってくるのです。(ただ、抗がん剤そのものは、時間的にはそのうちの3分の1程度の時間だけで、あとは、副作用を抑えるための薬、とのことでした。)

もちろん、点滴の最中、何もできない、ということはありません。ただ、この時は、次々と薬を入れ替えていくため、電動の装置が使われていました。こいつは、コンセントで繋がれていて、それが外れると1分後には異常を知らせる警告音が鳴ります。ということは、コンセントの届く範囲でしか、基本的には動くことができない、ということになるのです。

もちろん、点滴で薬が体内に入ってくるスピードは大変ゆっくりしたものです。それでも、これだけの長時間続くことによって、体内は、まさに「超大量」の薬品で満たされていきました。そして、2日目あたりになると、自分の体がどんどんむくんでいくのがわかるのです。これは大変奇妙な感覚で、おそらく、なかなか味わうことのないものだったと思います。(二度と経験したくはないですが)

そうして、丸二日間が終わった時、自分の体が自分のものでないような違和感がありました。やれやれと思って、傍らに置いてあった水を飲もうとすると、一口も飲めない。一気に吐き気が襲ってきたのです。吐き気止めの薬も入っていてはずなのですが、まったく効かなかったのです。当然、食事もとれません。あまりの気持ち悪さに、ベッドでのたうちながら唸る、ということしかできませんでした。そして、気分が収まるまでには半日ほどかかりました。

いやあ、今思い出しても、あれはけっこう辛かったですね。使われた点滴装置、セットされている薬がなくなると、ピロピロッという甲高い電子音で知らせるようになっているのですが、いまだにあの音は耳の奥の方に残っています。一種のトラウマになってしまっていますね。

 

最近は、高齢者にも適用できる治療法が色々と開発されつつあるようで、あと10年もすれば、私の受けた超大量化学療法は、時代遅れのものになっているかもしれません。多発性骨髄腫という病気、患者数はさほど多くない割には、次々と新しい薬や治療法が開発されており、患者側としては、ありがたい限りです。ただ、抗がん剤そのものが不要になることは、おそらくないでしょう。がんという病気が「治る病気」になりつつあり、5年生存率、10年生存率もどんどん上昇しているとはいえ、その治療はそれなりに大変です。しかも、副作用というのは、どの程度出るのかが、人によって大きく異なります。患者側としては、それを受け入れていくしかないのですが、皆さんの身近にがん治療を行っている方がいらっしゃれば、たとえ直接的には何もできなくても、やさしく見守ってあげてください。

 

本日は、少し面白みに欠ける文章になってしまいましたが、読んでくださってありがとうございました。