明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常29 残務処理の一年

こんにちは。

 

さて、前回の投稿で、一気に退職の顛末までお話ししました。ただ、少し書いたとおり、そんなに簡単にすべてのことから足を洗えたわけではありませんでした。

ひとつは授業についてです。これまで担当していた主な授業については、後任者を募集することになったのですが、そう簡単に適任者が見つかるわけではありませんし、その選考にはそれなりの時間を要します。(通常1年間ほどかかります。)そのため、後任者が決まり、実際にその人が赴任するまでの「つなぎ」として、2020年度は私が引き続き授業を担当しました。引き受けた時は、まあ1週間に1回か2回のことなら、それほど負担にはならないし・・・と考えていたのですが、実際には、これが結構大変でした。というのも、コロナ禍のため、授業はすべてリモートで行うことになり、それまでとは全く異なる準備が必要になったためです。授業の仕方は、それぞれの担当教員に任されていましたが、学生の習熟度、理解度を見るために、毎回の授業で必ずレポートや小テストを実施するように、大学側から求められていたのです。しかし、このレポートを毎回読んでチェックするのには相当の時間を取られたものです。まさか、退職してから、新しく授業の準備をしなければならないことになるとは思ってもいませんでしたね。

もうひとつは研究面での積み残しです。実は、不整脈で倒れた2018年度から3年間のプロジェクトで、他大学の仲間と共同研究を行うことになっており、そのために、「科学研究費助成金」という国のお金もつけてもらっていました。3年間ですから、私が退職した後も1年間残ってしまいます。たまたま私が研究代表者を務めていたもので、プロジェクトの中止も考えたのですが、他の仲間や大学に迷惑をかけることになりますので、少し工夫をして、何とかこれを続けることにしたのです。ただ、お金の多くは、調査研究のための出張旅費に充てる予定だったのが、コロナ禍の影響でほとんど不可能となってしまい、かなり大幅に計画を修正せざるを得なくなりました。その調整にも苦労させられたものです。

そんなわけで、退職してから1年間、つまり2020年度はまだ職場とのつながりがかなり深く、頻繁に出入りしていました。また、長年使ってきた研究室の後片付けもなかなか大変な作業でした。壁一面の本棚に収納されている本を一冊ずつチェックし、残すもの、廃棄するもの、大学の図書館に返却するもものに分けていくだけでも、相当時間がかかったものです。それから、紙ベースの資料やデータの処理も大変でした。これはまあ、研究機関で長年働いた人ならだれでも経験することなのですが、ひょっとすると、ふつうに仕事をしているより疲れるのではないか、と思ったことさえあったものです。

退職したのが2020年3月ですから、「今年の夏はゆっくりオリンピックでも見よう」などとのんびり構えていたのですが、目算が大きく狂ったわけです。(まあ、オリンピックそのものが1年延期になってしまったわけですが)ふだん、さほどテレビでのスポーツ観戦をしない私がこんなことを考えていたのにはそれなりn理由があります。2014年に6月から長期入院した時は、ちょうどサッカーのワールドカップをやっていて、これを毎日のように見ることが、楽しみのひとつだったのです。この時は、ブラジルでの開催だったのですが、日本時間で早朝4時過ぎからあったドイツ対ブラジル戦(実質的な決勝戦になるのではないか、とも言われていた試合です)で、地元ブラジルが1-7という歴史的大敗を喫した瞬間もリアルタイムで見ていました。サッカーで7点も取られるなんてことは滅多にあることではありません。ましてや自国開催。あの時のスタジアムの騒然とした雰囲気(暴動でも起こりそうでした)と選手達の呆然とした表情は、今でも忘れられません。試合が一方的になってしまったことはともかくとして、スポーツ観戦であんなにドキドキしたことはあまり記憶にありません。

 

随分話が横道にそれてしまいました。まあ、そんなわけで2020年はドタバタと過ぎていったのですが、この年には、実はもうひとつ大きな出来事がありました。それは「新展開」ともいうべきもので、後日改めてお話ししなければならないたくさんの内容を含んでいるものです。

今回の投稿でちょうど30回になりますので、この新展開についての投稿は、少し休みをいただいた後に書いていこうと思います。ただ、今週後半は、プライベートで少し立て込んでいるうえに、新型コロナウイルスのワクチン接種(2回目)がありますので、次の投稿は多分来週になると思います。(ワクチン接種後の副反応次第ですが)

再開しましたら、また、よろしくお願いいたします。

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。