明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常32 ダラキューロ

こんにちは。

相変わらずの悪天候ですね。甲子園の高校野球も連日の中止・順延で大変なようです。遠方から来ている高校は、滞在費もどんどんかさむし、いわばずっと合宿状態になるので、そうこうしているうちに、コロナ感染者が出たりして、本当に気の毒です。野球に向けてのモチベーションを保つのも一苦労でしょうね。

 

さて、私の病気の話もいよいよ(ようやく?)2021年、つまり今年のことになります。

4月に入って、検査の結果、どうやらがん細胞が再び活発な動きを見せる兆候が出ていることが明らかになりました。

もともと、多発性骨髄腫という病気は、これまでにも説明してきたように、現在の医療技術や薬では「完治」に至ることはなく、どんなに治療の効果がみられても、ほぼ確実に、がん細胞は少しずつ復活してしまいます。下の図が示すとおり、寛解状態と再発を繰り返しながら、なんとか維持していくしかないのです。そして、この図の右の端のように、治療そのものが手詰まりになってしまうと、後は悪化の一途を辿、ということになってしまうのです。

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いきなり最悪の場合のことを書いてしまいましたが、とにかく、再発そのものは医師側からすれば、織り込み済みの話ということになるのです。それは、簡単に言ってしまえば、これまで使ってきた薬がだんだん効かなくなってくる、ということに尽きます。まあ、どんな薬でも、ずっと使っていれば次第にその効果が得られなくなってくるというのは当たり前の話であり、これはどうしようもないことです。(たとえば、市販の痛み止めの薬とかも、頻繁に使っていると、だんだん効かなくなるようです。強力な痛み止め、例えばロキソニンとかを使っている人は、お気をつけください。もちろん、使ってはいけない、とは言いまえんが。)

私の場合、レブラミドを4年以上服用してきたわけで、そろそろ効果が得られなくなるのは、やむを得ないことでした。通常は2年から3年で効かなくなる、とのことですので、まあ、長くもった方かもしれません。これまでの経験で、自分の病気についてある程度客観的に見ることができるようになっていましたので、これまでの薬が効かなくなってきたことそのものについては、そんなにショックはありませんでした。

 

ではどうするのか。主治医の先生は、次に使う薬について、既に考えてくれていました。前にも書きましたが、この病気に関してはこの10年間ぐらいの間に次々と新薬が開発されていますので、その中で効果が高そうなもの、私の体に合いそうなものを選ぶことになります。そうして選ばれたのが、ダラキューロという新薬を軸にした治療です。ただ、この時点では、まだ薬価も決まっておらず、市場に出回っていませんでした。止むを得ず、以前に使っていたベルケイドを「つなぎ」として使いましたが、幸いに、どんどん症状が悪化するということはありませんでした。そして、6月に入ってようやく薬価も決まり、自由に使えるようになったのです。実は、それまでにもほぼ同様の成分を含むものがあったのですが、それは点滴による投与が基本となっており、1回数時間かかる点滴を毎週行わなくてはならなかったのです。これでは、患者にとっての負担が大きくなります。新しい薬であるダラキューロは、皮下注射による投与を行うことができるようにしたもので、1回の治療時間は劇的に短縮されるのです。

ただ、なにしろ新しい薬です。どんな効果があるのか、そしてどんな副作用があるのか、やってみないとわからない、というのが正直なところです。(もちろん、しっかりした治験は行われているはずですが) 病院側も、慎重に対処せざるを得ません。とりあえずは下のような小冊子を配布されましたが、その治療開始は、かなり注意深く開始されたのです。

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今日はここまで。

次回は、ダロキューロによる治療開始について、もう少し具体的に書いていく予定です。

 

いつも読んで下って、本当にありがとうございます。