明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常47 私は病院でこのように過ごしています

こんにちは。

 

朝晩はすっかり冷え込むようになりましたね。皆さん、お変わりありませんか?

私の方は、昨日、ダラキューロ治療3クール目が終了し、来週はお休みです。これまでのところ、大きな副作用等は出ておらず、まずは順調に推移しているようです。

よく考えると、ダラキューロの治療が具体的にどのように行われるのか、あまり詳しいことは書いてこなかったように思いますので、今日は少し詳しくご紹介していくことにします。

 

① まず病院に到着して受付を済ませると、すぐに「中央採血室」というところに向かいます。血液検査の結果が出るのには、けっこう時間がかかるので、最初に採血しておく必要があるのです。私の通院している病院の場合、午前8時から受付が開始されますが、その直後は多数の人が受付機械の前で行列を作っていますので、それが一段落した頃、つまり8時15分前後に病院に到着するようにしています。(ちなみに、診療開始は8時30分です。)

② 採血そのものも順番ですから10分以上待たされることも珍しくありません。ここは、すべての診療科の医師から入ったオーダーに対応していますので、実にさまざまな病気の人が訪れるのです。(検尿もここで対応しています。)

実際に採血するのは臨床検査技師または看護師の人達です。彼らは、一日中採血の仕事しているわけで、さすがに手際が良い・・・と言いたいところですが、血管に針を入れるのはそれなりに奥深い作業のようです。当たり前ですね。人によって、血管の太さや位地は異なるのですから、それを瞬時に判断しなければならないのです。ちなみに私はかなり血管が細いようで、「あ、また逃げた」と言われながら、かなりの時間がかかることもあります。今までの最高で、4回も針を刺しなおすということもありました。これは採血する方の技量の問題というよりは、「相性」のようなものらしいです。ちなみに、血を抜いている間、手をしっかり握ったままにする方法と、順調に血が管を流れ始めたら「手の力を緩めてください」という方法があります。違いや効率の差とくにないようで、それぞれの病院全体の統一的な方法で行われています。

➂ 採血が終わったら、今度は化学療法室というところに向かいます。ここは、あらゆる部位のがんの化学療法を専門に行う部屋ですが、基本的に医師は常駐せず、すべて看護師さんが対応しています。ここで、体温や血圧、脈、血中酸素濃度、体重などをはかった後、問診票に必要事項を記入し、看護師さんの簡単な問診を受けるのです。最近は、コロナ関連の問診もこの時に行われます。

ここに来る患者は、皆さんある程度重大な病気を抱えているが、入院するほどではなく、通院による化学療法(主に注射や点滴)を続けている、という人達です。そのため、日常的な不安感やちょっとした身体の不調など、担当医、主治医の先生に伝えるのがちょっとためらわれる、というような内容の話も、丁寧に聴いてくれます。そのため、ここに配置されている看護師さん達は、皆さんある程度経験豊富で、フレンドリーな方ばかりです。患者側の不安感を少しでも和らげようとする配慮が随所に感じられます。

ここで、一応のOKが出れば、次はそれぞれの診療科の受付に向かい、そこで、血液検査の結果を待つことになるのです。

なお、採血以外の検査、例えばレントゲンや心電図、CT等のオーダーが入っている場合は、ここに来る前にそれぞれの検査室に行くことになっています。すべての検査結果が出ないと診察、診療はできないのですから、これは当然ですね。でも、大体において、血液検査以外の結果はわりとすぐに出るようです、(CTは検査自体に少し時間がかかりますが)

④さて、ここで待つことしばし、病院に来てから約1時間経過して、やっと自分の診察の順番が回ってきます。待合室で待っているのは退屈、といえば退屈ですが、新聞や雑誌等を持っていけば万全ですね。(スマホの使用も、よほどでない限り大丈夫ですが、近くには様々な患者さんがいらっしゃるので、その点は配慮した方が良さそうです。)

診察室では、今朝の検査結果をもとに、主治医の先生から説明や薬の処方、今後の治療方針の相談等がなされます。私の場合は、主な治療は前述の化学療法室で行うので、ここで実際の治療が行われることはありませんが、これは治療法や診療科によって違うでしょう。少なくとも、血液内科では、診療室にあるベッドが使われることは滅多にないようです。

⑤主治医の先生のGOサインが出れば、その伝票をもって、化学療法室に戻ります。すると看護師さんが「おかえりなさ~い」と迎えてくれ、いよいよベッドや椅子が30台ほど並んでいる奥の部屋に通されます。点滴の場合は短くても2~3時間かかったりしますので、ベッドが必要になるかもしれませんが、私の場合は注射だけですので、いつも椅子に座っています。椅子と言ってもイメージしにくいかもしれませんが、まあ、理容室や美容室にあるような椅子を、もう少し座り心地良いものにした感じ、といえばわかってもらえるでしょうか。

⑥いよいよダラキューロの注射になるわけですが、この薬を注射するには、その1時間前に3種類の薬を飲むことが、製薬会社から指示されています。なので、まずはこれを飲んで、看護師さんに「たしかに飲みました」と伝えます。看護師さんはそこでタイマーを設定して、1時間後の注射に備えるのです。待ち時間の間は、病院内のどこにいてもかまわないのですが、行くところといってもコンビニかカフェぐらいしかありませんので、私はそのまま座って、スマホで音楽を聴いて待っていることが多いです。そして、やっと注射の開始。ダラキューロの前に、ベルケイドという抗がん剤を腕に皮下注射します。その次がダラキューロの出番。こちらは腹部への注射となります。ご存じの方も多いと思いますが、人間の腹周りというのは比較的神経が細かくは通っていないところなので、この注射は、まったくといってよいほど、痛くありません。ただ、最低でも3分館かけて注射するように、という製薬会社の指示がありますので、ゆっくりと薬を入れていきます。この時間、担当の看護師さんとは世間話をして過ごすことになります。昨日は、うちの近所のスーパーマーケットとその駐車場の話で盛り上がりました。たまたまその方が最近そこを利用して、クルマを出すときに、表の国道がすごい交通量で、そこに入っていくのがメチャ恐かったそうです。

前にも書きましたが、看護師さんとのこんな何気ない日常会話は、ちょっとした「癒し」になります。ダラキューロの場合、注射に少し時間がかかりますので、看護師さんも「同じ姿勢をずっと取り続けるのはつらい」ということで、簡易な椅子に座られることが多いため、こういうコミュニケーションがとりやすい、ということもあります。

⑦終了後はもう一度血圧等を測って、異常がなければすべての治療は終了。あとは、会計を済ませ、外部の薬局で、処方された薬を受け取って、すべてが終了です。この時時計を見ると、大体11時30分ぐらいになっています。つまり、全所要時間は約3時間。まあまあ「一仕事終わった」感があります。12時の混みあう時間の前に間に合うように、急いで、ゆっくりできる店に向かって昼食を取りましょう。やれやれ、です。

 

今回の話は、ピンポイントでこの病気に罹患している人以外には、ほとんど興味の持てない内容だったかもしれません。でもまあ、「通院による治療」といっても、色々と大変だ、ということを少し感じていただければ幸いです。

 

今回も、最後まで読んでくださって、ありがとうございました。