明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常53 やはり合併症は恐い

こんにちは。

 

前回、選挙制度について少し書きましたが、もう一点、まったく異なる視点から気になっていることを、ちょっと記しておきます。

それは「不在者投票」についてです。衆議院選挙に限らず、私たち有権者が投票する際には、指定されている日に投票所に行く方法以外に、期日前投票不在者投票という制度があることは、ご存じの方も多いと思います。(その他に在外者選挙制度というのがあります。)

このうち、期日前投票については、投票所の数は少ないものの、かなり便利な制度で、誰でも気軽に利用できます。総務省のホームページによると、対象者は「投票日当日に用事があるなど一定の事由に該当すると見込まれる方」とありますが、対象となるかどうかについて、会場で詳しく尋ねられることはほとんどないはずですから、日曜日にはちょっと・・という方にとっては、ずいぶん有用なものでしょう。

しかし、不在者投票についてはどうでしょうか。こちらの対象は「選挙期間中、出張や入院などの理由で投票へいけない方」となっており、「仕事などで名簿登録地以外の市区町村に滞在している方は、滞在先の市区町村の選挙管理委員会不在者投票ができます。また、指定病院等に入院等している方などは、その施設内で不在者投票ができます。」となっています。しかし、手続きは期日前投票ほど簡単ではなく、事前に当該選挙管理委員会に届け出て、投票用紙の交付を受ける等の手順が必要です。(詳細は、地域ごとに若干異なるようです。)しかし、例えば障害をもっているために自宅から投票所へ行くこと自体が困難な方はどうでしょうか? 実際に問い合わせたわけではありませんので、その場合の手続きがどうなるのか、あるいはそもそも対象となるのかどうか、確証はありませんが、いずれにせよ、手続きが数段階あることによって、「面倒だから止めておこう」となってしまう方も少なくないのではないだろうか、と思うのです。また、「指定病院等」の数は非常に限られており、実際に入試ている方で投票できる方は限られているようです。

もちろん、本人確認を慎重に行わなければならない等の事情は十分わかるのですが、要介護認定を受けている方や障害者の方等は各自治体で把握できているはずですから、投票券や選挙公報を送付する段階から、もうちょっと工夫できないものだろうか、と思ってしまうのです。

将来を担う若者の投票率を上げることはもちろん重要ですが、だからといって高齢者や障碍者を後回しにしてよい、ということにはならないでしょう。なお、私は投票に出かけた若者に対して自治体が何らかのプレミアムをつける、という方法には若干懐疑的です。「モノ」に釣られて投票所に出かけるような人がきちんとした判断で投票を行うことはあまり期待できないからです。投票率を上げればそれでよい、ということではないでしょう。

 

さて、前置きのつもりが長くなってしまいました。

 

新型コロナ・ウイルスの感染者は、このところようやく減少傾向にあり、ニュースでの扱いも少しずつ小さくなってきています。しかし、海外の報道を見ると、感染再拡大の傾向もみられつつあるようで、油断ならないな、というのが最近の状況です。たしかに、新規感染者の中で重症者の占める割合はかなり減っていて、軽症または無症状という方が多くなっているのは良いことなのですが、こういう時だからこそ、もともと重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患を抱えている人間にとっては気をつけなければならないのです。

先日、元アメリ国務長官であったコリン・パウエル氏が84歳で亡くなりました。彼は、黒人ではじめてアメリカ軍統合参謀本部議長(制服組のトップ)にもなった経歴をもっており、「人種の壁を繰り返し壊し、政府機関で働こうとする人々の先駆者となった」という評価を得ています。

ただ、彼は国務長官在任中の2003年、ブッシュ大統領の(当時)の意向を受け、国連安全保障理事会で、イラク戦争(というよりイラクへの集中的爆撃)の開始を強く支持したという、拭いきれない暗い過去を持っていました。後になってみると、この国連での主張はほとんど事実とは異なるものだったことが明らかになっており、「あれは結局イラクの人々と国土を傷つけただけではないのか」とも批判されたのです。当時の閣僚の中でもブッシュの主張に対してもっとも懐疑的であったとにもかかわらず、こうした発言をしたことについて、彼自身は晩年まで後悔し続けていた、とのことですが・・・

話が横道にそれましたが、パウエル氏の死因は新型コロナ・ウイルス感染にともなう合併症、と発表されています。この「合併症」が問題で、彼はそれ以前から多発性骨髄腫(つまり私と同じ病気)およびパーキンソン病を患っていました。ちなみに、コロナのワクチンは、今年に入って2回接種していたそうです。

このニュースに触れた時、まったく他人事とは思えなかった、というのが私の本音です。もちろん年齢差がありますし、彼の病状がどの程度のものであったのかはよくわかりませんが、少なくともワクチン接種を医師が認めていたということは、その時点ではまだ、さほど重症化しておらず、ワクチンの副反応等には十分耐えられると判断されていたはずです。その程度の症状であっても、コロナ感染が引き金となって、命を落とすこともあるのだ・・これは、私に限らず、さまざまな基礎疾患を持っている方、いや、すべての人々にとって、大きな警鐘ではないでしょうか。

かといって、すべてを自粛せよ、というつもりはありません。私自身もぼちぼちと外出する機会は増やしていますし、年末に向けて、外食の機会も今後増えてくるでしょう。でも、こういう事実がある、ということは心に刻んでおきたいものだ、と思います。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。