明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常60 コロナ感染の再拡大

こんにちは。

 

今朝のニュースをチェックしていたら、気になる記事を見つけました。

ヨーロッパで再び新型コロナ・ウイルスの感染が拡大する中、オーストリアは来週からワクチンを接種した人の外出も制限するほか、来年2月からワクチンの接種を義務化する厳しい措置に踏み切ることになったというのです。去る11月15日からはワクチンを接種していない人を対象に、外出を制限する措置が全土でとられてきたのですが、18日の発表では、新規感染者が1万5000人を超えて、1日の感染者としてはこれまでで最も多くなり、規制強化に踏み切らざるをえないとの判断がなされたようです。

気になって、この1年半ほどの同国の新感染者数と死亡者数がどのように変化してきたのを調べてみました。すると、下のグラフの通り、この1ヶ月で急拡大していることがわかり、正直なところ、大変驚いてしまいました。死亡者数に関しては、ちょうど1年前の最悪の時期と比べると、まだ少ないですが、それでも、感染者数の拡大に引きずられるように、増加し始めています。

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オーストリアにおける新規感染者数の推移

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オーストリアにおけるコロナ感染が原因と思われる死者数の推移



さらに、EU諸国の状況を調べてみると、国によってある程度の違いはあるものの、オーストリアと同じような動きを示している国が多数見られます。(とくに、ドイツのグラフはオーストリアのそれとほとんど同じ形になっています。)

この急拡大の理由は、今のところ解明されていません。それはそうでしょう。日本でなぜ急減退したのか、きちんとした科学的な説明を行っている人は誰もいないのですから、急拡大の理由もまた、「よくわからない」というのはむしろ当然なのです。要するに、まだまだ未知の部分が多い、ということなのです。

ちなみに、オーストリア国民のワクチン接種率を調べると、2回接種した人の割合は70%を少し下回る程度で、日本よりちょっと低いかな、という程度です。つまり、ワクチン接種が遅れていることが原因ではないことは明らかです。

オーストリアに限ったことないのですが、ヨーロッパの諸国は、個人の尊厳をベースにした民主主義の観念が相当根強い伝統を持っており、ワクチン接種の強制やマスク着用の義務化、法律に基づく行動制限等については、強い反対意見が出やすいと言われています。にもかかわらず、今回のような措置が取られることになったのは、政府に相当強い危機感が働いているからだと思われます。今後の展開がどのようなものになるかはまったく不明ですが、もし医療現場のひっ迫が再び起きてしまうならば、そのダメージは相当期間残ってしまうでしょう。コロナ・ウイルスのメカニズムの全貌がなかなか明らかにならない以上、今のところ頼みの綱は、開発が進みつある治療薬の承認と普及しかないのかもしれません。

もちろん、これは私たちにとって「対岸の火事」ではありません。いつ、日本でも感染急拡大が始まってしまうのか、そして、オーストリアやドイツの例を見るならば、今度はこれまでよりももっと速いスピードで広がってしまうかもしれない、と考えると、なかなか落ち着けません。やれやれ、こうやって今年は暮れてゆくのでしょうか。

 

今回も、最後まで読んでくださって、ありがとうございました。