こんにちは。
歌手・女優の神田沙也加さんが亡くなりましたね。私は、お母さんである松田聖子さんの大活躍されていた時代に青春を送った人間ですので、娘さんには直接の思い入れはありませんが、わずか35歳で自らこのような選択をしてしまった彼女の胸の内を想うと、やはり心が痛みます。数回前の投稿でも書いてように、自らの命を絶つという行為は、決して美化されるべきことではなく、むしろ「馬鹿野郎」と言いたいのですが、そこに至るまでの彼女の気持ちの変化を思いやると、「これで本当に楽になれたのなら、少しは魂も救われるのかな」という思いもまた湧いてきます。彼女の身に何が起きていたの、知る由もありませんし、詮索する気もないのですが、おそらくさまざまな要因が複合的に絡み合って、その糸がほどけなくなってしまったのでしょう。いくつかの文献を読む限り、人間はひとつだけの要因ではなく、複数のことがごちゃごちゃに絡み合ってしまった結果として、大きなメンタルヘルスの問題を抱えてしまうようです。そしてその最悪の結末が、自分の身体を傷つけることによって、そこから逃げようとする行為なのです。
そういえば、先日大阪で発生した24人もの犠牲者を出した火災現場も、職場のメンタルヘルス問題を専門に扱う心療内科クリニックでしたね。そして容疑者として特定されている人物もまた、このクリニックの患者の一人だったようです。
コロナ禍であるということを差し引いても、近年、メンタルヘルス問題は非常に注目されてきています。他の病気やケガとは異なり、どこからをメンタルヘルスの問題とみなすのか、という境界線が大変あいまいです。線引きが難しいのですが、とりあえずの指標として、厚生労働省のデータを見ると、下のグラフのように、明確な増加傾向が見られます。精神疾患による労災請求・認定件数も増加傾向にあり、無視できない社会問題になりつつあるのです。また、ここで挙げた数字が氷山の一角に過ぎないこと、そして仕事以外の要因が大きなウエイトを占めている方が多数いらっしゃることは言うまでもありません。(労災に関しては、すべての方が亡くなったというわけではありませんので、誤解のないようにお願いします。)
日本という国、そしてそこに立地する企業は、そんなにも住みにくく、働きにくい環境になってしまっているのでしょうか。なんだか悲しくなる現実です。
実は私も、当時まだ在学中であった学生を失ったことがあります。もう10年以上前のことになりますが、あの時の衝撃と、その後のご両親との面談のことは、今でも忘れられません。「そんな選択をする前に、異変に気づくことはできなかったのだろうか。そして、私にできることは何かなかったのだろうか。」という思いがよぎったのも、一度や二度ではありません。
こうした状況に対して、私たちはどのように考え、対処していけばよいのでしょうか。
すごく乱暴な言い方かもしれませんが、亡くなってしまった人が天国から見ていて、自分の行動を後悔するような、住みよい社会を作っていくことしかないのではないか、と思います。その具体的な方法はさまざまでしょう。例えば、企業の現場では「健康経営」という言葉をキーワードに、働き方、働かせ方を見直していこうという動きがあります。ただ、制度的な改革も必要ですが、基本は、個人同士が互いを思いやる、という雰囲気を作っていくことに尽きます。
2021年もあと10日ほどで終わってしまいますが、来年こそ、微笑みあえるような社会をつくっていきたいものですね。そして、マスコミや言論者にも、そうした気持ちで発言したり、報道したりしてもらいたいものです。
今回は、なんだかすごく湿っぽい投稿になってしまいました。次回は少し気を取り直して、気持ちが軽くなるような前向きの話題を取り上げるつもりですので、よろしくお願いします。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。