明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常91 骨髄検査は難物だ

こんにちは。

 

前回は白内障について書きましたが、まずは少しだけその補足を。

先日、バレーボールの男子日本代表選手でもある藤井直伸さんに関する少しショッキングな記事が新聞紙上を賑わせました。彼は、少し前から目の不調を感じていて、「ボールが2つ、あるいは3つに見える」という自覚症状があったようですが、精密検査をしたところ、なんと胃がんのステージ4であることが判明したのです。新聞報道にはあまり詳しくは記載されていませんが、彼自身、おそらく「まさか」という気持ちだったでしょう。つまり、目が不調だからと言って、必ずしも目の病気とは限らないということです。とくに目は脳に近いところにありますから、そちらの方面の病気も疑わなくてはなりません。藤井さんの場合も、胃がんが脳に転移して、それが視覚の異常という形で外に現れたのでしょう。

このことから言えることは大変シンプルです。症状として自分の体に現れる不調から自分の病気を素人判断してはならない、ということですね。

思い返してみると、私の場合も、最初はただの腰痛かと思っていたら、実は多発性骨髄腫という厄介な病気だったという経験があります。医師の判断や診断がいつも必ず正しいとは限りませんし、「重大な病気を見逃した」という事例もしばしば目にします。しかし、少なくとも医学的知識のほとんどない人間が勝手に判断するよりはマシなはずです。もちろん、どの医師のどの言葉を信じ、あるいは信じないかは個人の自由ですが、不調を感じたら、まずはきちんと検査を受けて、判断すべき客観的情報を入手する、ということは必要だろうと思います。

藤井さんの早期回復をお祈りしています。

 

さて、私自身は一昨日新型コロナ・ウイルスの3回目のワクチンを接種してきました。過去2回と同様モデルナです。巷ではモデルナの方が副反応が出やすいという話で、少しばかりは緊張していましたが、結局、過去2回と同様、ほとんど副反応らしきものはありませんでした。発熱や腕の痛みはもちろん、倦怠感もほとんどありませんでした。これから接種される方も多いと思いますが、注射した部分を保冷剤(タオルで巻き付けたもの)で冷やし、水分をいつもより多めに取る、というだけで、随分違うようですよ。会場で接種後肩の部分を冷やしていた方はほとんどいらっしゃらなかったようですが、試してみる価値はあります。

この後どのぐらいの期間で中和抗体が増加してくるのかはよくわかりませんが、とりあえずは一安心です。もちろん、ワクチンを接種したからと言っても感染するリスクはある程度あるので、相変わらず注意が必要であることは言うまでもありませんが。

 

今回はもうひとつご報告です。

以前の投稿でも少し触れたのですが、少し前に骨髄検査を受けました。最近は血液検査や尿検査の結果が非常に良好だったので、「一度、もっと詳しい検査をして、がん細胞がどの程度残っているか確認してみましょう」ということになったのです。

ただ、この骨髄検査というやつ、かなり手ごわいです。これまでにも数回受けたことがあるのですが、何とも形容しがたい独特の痛みがあるのです。まあ、当然と言えば当然です。非常に太い注射針のようなものを骨髄にさして、これを吸い出すのですから。事前には2~3本の麻酔注射を打つのですが、それでも思わず声が漏れてしまうような痛みがあるのです。刺すような痛みではないのですが、あまり何度も経験したくはない代物です。

以前入院していた病院で相部屋になった患者さんは、事前に「けっこう痛いよ」と言われていたらしく、担当医師にしつこいぐらい何度も繰り返して「痛いですか?」と尋ね、最後には、あきれた医師から「私も自分で受けたことはないので実際のところはよくわかりません。」と突き放されていました。気持ちはわかりますが、あれは思わず少し笑ってしまったなあ。

さて、そしてその結果ですが、骨髄中のがん細胞の割合は0.0036%というものでした。つまり1万分の1にも満たない数値ですね。医師の見立てでは「これまでの治療の効果のためか、非常に微量になっていますが、陰性か陽性か?と聞かれたら、陽性になってしまうんですねえ。」とのことで、とりあえずはこれまで通りの治療を継続することになりました。陰性と判断されるには、完全にゼロになってしまわないとダメなようです。そうなれば「深いレベルの寛解(奏功)ということになるのですが、私の場合はその一歩手前のようです。

ただ、この結果には私はまったく失望していません。もちろん、陰性になれば、若干治療方針は変更される可能性はありましたが、いずれにせよ、これで治癒(完治)ということにはなりません。いつまた再発するかわかりませんし、薬のせいで免疫力は低下していますので、なんらかの感染症にかかるリスクは相変わらずです。むしろ、予定通りに治療を進めていけることに安堵すべきなのでしょう。このブログを書き始めた当初にも書いた事なのですが、この病気とは長年つきあっていく覚悟が必要なのです。決して「克服」とか「闘病」などという勇ましい言葉を使うのではなく、日常生活の中で、なるべく平常心で自分の病気に向き合っていきたいものです。もうすぐ診断を受けてから8年になりますが、その頃は「10年以上生存する人もいる」という程度の生存率しかなかったのですから・・・。

 

本日はここまで。

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。