明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常123 BA4とBA5

こんにちは。

 

7月8日、安部元首相が銃撃され、死亡するというショッキングな事件が起きました。これを書いている時点では、犯人はその場で逮捕されたということぐらいしかわかっていませんので、これ以上憶測で色々と書くことは差し控えますが、今はただ、故人のご冥福をお祈りします。

ただ、こんな時に揚げ足取りみたいになってしまい、大変失礼だとは思いますが、テレビで流されるさまざまなコメントの中で少し気になったことがありますので、書いておきます。それは「これは民主主義に対する卑劣な挑戦だ」というものです。たしかに、安部氏の政治信条を暴力でもって封じ込めようとしたのなら、それは個人の人権や思想を根幹に据える現代の民主主義を冒涜するものです。しかし、たとえ民主主義を標榜していない社会であっても、人の命を奪おうとする行為は、そこにどんな理由があったとしても、立派な重大犯罪であり、厳しく罰せられなければならないはずなのです。これがもし、政治家以外の人間を標的とした事件だったら、識者やマスコミは「民主主義」という言葉を安直に使うでしょうか。今回の事件は、一人の政治信条や思想を標的にしたものである以前に、一人の人間の命をやすやすと奪ってしまったという意味で、とても衝撃的だったのです。

 

今回の参議院選挙を見ていて改めて気がつくのですが、現在の日本の政党には「民主」をその名前に使っているところが、非常に多いですね。どうやら、政治家は民主主義という言葉が大好きなようです。現代において、民主主義という概念を正面から否定するような議論はほとんどありません。しかし、現代社会においてこの言葉の持つ意味をもう少しきちんと整理し、考えてから、使うべきではないでしょうか。

 

さて、気分を変えて本題に、といっても今回は少し重い話題になってしまいます。

先週あたりから新型コロナの新規感染者数が各地で急速に増加していますね。ヨーロッパの各地等でもじわじわと感染者が増えているようです。

今回の増加の主な原因は、オミクロン株の変異株であるBA4およびBA5と呼ばれるもののが、これまで主流であったBA2株から急速に置き換わりつつあるためである、というのが専門家の見立てです。例えば、イギリスやアメリカでは既に新規感染者の約半数がこうした新しい変異株によるものだと報告されています。BA4BA5ともに、最初に見つかったのはアフリカ大陸のようですが、それが次第に世界中に広がってきているということですね。

ではそれはどんな特徴を持つのでしょうか? まだデータも少なく、詳細なことはわかっていないようですが、おおまかにまとめてしまえば、以下の通りとなります。

BA2よりも1.4倍程度という高い成長率となっている、つまり、それだけ感染力が強い。

・感染者数の増加に伴い、入院患者数も増加傾向が見られるが、重症化リスクについてはまだよくわかっていない。(BA2株とほぼ同じだというデータもあります。)

・罹患した場合の症状は、鼻水、のどの痛み、頭痛、疲労感など、これまでの感染と大きな違いはない。

・従来のオミクロン株(BA1およびBA2)に感染した人でも、再感染するリスクはある。

BA4およびBA5に感染した人のワクチン接種状況を見ると、BA2の場合と大きな差は見られない。つまり、同じ程度には効果があると考えられる。したがって、既存のワクチンを接種することの意味は薄れていない。ただし、3回目のワクチン接種を受けた人でも、感染するリスクはある。(これは、昨年ワクチン接種が始まった当初から言われていたことで、ウイルスを完全にシャットアウトできるものではありません。)

 

ここで書いたことには、すべて「今のところ」という前提がついています。まだ症例そのものが必ずしも多くないのですから、これは仕方ありませんね。いずれにしろ注意が必要なことには変わりありません。とくに世代別の重症化リスクについては、今後、細かな情報をだしていってもらいたいものです。

 

この夏になって、一昨年、昨年と控えられてきた各種の大きなイベントが次々と通常通りに開催されることが決定しています。日本に限らず、「コロナ疲れ」(あるいは「コロナ慣れ」)は相当なものになっていますし、伝統的な祭などは3年も中止してしまうと伝承すべきものが失われてしまう、という危機感がありますので、ある程度止むを得ないのかもしれません。しかし、一度緩んだ気持ちを立て直すのには相当のエネルギーが必要となります。今後の推移を見ていかなければなりませんが、8月から9月にかけて、事態が悪い方向に進んでしまうこともある程度想定して、今のうちに締め直すべきところは締め直していかなければならないですね。

暑くなって、マスクを着け続けるのはうっとうしい季節になりましたが、必要に応じて、小まめに着脱するようこころがけたいものです。

 

今回も、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。