明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常146 打首獄門同好会の魅力

こんにちは。

 

外国人観光客の入国制限がいよいよ大幅に緩和され、この秋は久しぶりに行楽の秋となりそうですね。最近、街を歩いていると、修学旅行の集団も増えていることに気づきます。

そんななか、先日京都市左京区にある真正極楽寺真如堂)という寺院を参拝してきました。と言っても、地元の人以外にはさほど有名ではないかもしれません。しかし、下の写真を見ればわかるように、見どころはたくさんあります。また、比較的早い時間帯(朝9時30分頃)だったせいか、訪れている人もほとんどなく、ゆっくりと見て回ることができたうえに、寺院の関係者の方(多分お坊さんではありません)から色々と丁寧に説明をしていただき、心が豊かになるような時間を過ごすことができました。ただ、「これから紅葉のシーズンもやってくるし、人出はどっと増えるでしょうね。」とも仰っていました。観光客がまったくいないのは寂しいものですが、あまりにも増加して、いわゆるオーバーツーリズムになってしまうのも困りものです。ちょうどよいぐらいの観光客増加っていうのもむずかしいものですね。

三重塔(現在の建物は1817年再建されたもの)

隨縁の庭 この寺院は三井家の菩提寺で、この庭のデザインは三井家の家紋をモチーフにしている。 2010年重森千青氏作庭)



さて、今回は久しぶりに音楽ネタをひとつ。8月31日のブログ(第136回)で猫について書いた中で、愛猫精神のカタマリのような「猫の惑星」という曲を発表しているバンド、打首獄門同好会を簡単に紹介しました。

このバンド、色々と曲を聴き、情報を集めてみると、非常に興味深いのです。

まずは、色々と蘊蓄(うんちく)を並べるよりは、何曲か代表曲を聴いてもらった方が良いだろうと思いますので、お勧め曲のタイトルを並べてみます。

  1. 日本のコメは世界一
  2. 島国DNA
  3. なつのうた
  4. 布団の中から出たくない
  5. 働きたくない
  6. フローネル
  7. 地味な生活
  8. 死亡フラグを立てないで

 

どうです? タイトルだけでも何となく魅力的でしょう? これらはこのバンドの公式YouTubeチャンネルでミュージック・ビデオを見ることができます。ネタバレしない程度に、軽く内容を紹介しましょう。

まず、1.と2.は食べ物ネタ、料理の名前が連呼されます。3.と4.はそれぞれ季節によってなかなか起きられないけど、なんとか今日も起きてがんばるという歌。ビデオは可愛さ全開です。5.や6.も辛い労働のウサを晴らすかのような曲です。こちらのアニメも秀逸です。そして7.と8.は今年夏に発表された最新作ですが、7.はコロナ禍で誰もが感じていることを歌っています。また8.は推理ドラマ仕立てになっている力作で、ビデオに出演しているのはメンバー以外もほとんど身内のスタッフという安価な作りながら、なかなかの熱演で、高いレベルのおもしろい仕上がりになっています。

このバンド、名前はなんだか恐ろし気だし、サウンドはラウド・ロックとかパンク・ロックとか呼ばれているジャンルに属するのですが、上に書きましたように、歌詞と内容はきわめて庶民的、日常的なものばかりです。また、意外なほどメロディが素直かつ親しみやすいものなので、ロックにあまり興味のない人、「うるさい音楽は嫌いだ」という方でも、さほど抵抗なく聴くことができるだろうと思います。ちなみに、バンド名は、和風の名前、ということで何となく決まったようで、さほど意味があるわけではありません。

メンバーは3人です。リーダーでギター、ヴォーカル担当の大澤 敦史さんがほとんどの曲の作詞作曲を行っており、ビデオの企画も考えているようです。インタビュー等を聴いていてもかなり頭の良い人であることがわかります。他方で、遊び心も持ち合わせていて、テレビのバラエティ番組も負けてしまいそうな、とんでもない企画を次々に企画・実践しています。

あとの二人、ベースとドラムはいずれも女性。 ロック・グループで、より力強さが求められるリズム隊が二人とも女性というのは珍しいかもしれませんが、腰のすわった、パワーあふれる演奏を展開しています。また、二人ともたいていの曲で一部リード・ヴォーカルを担当しているのですが、その歌声はストレートで、よくとおる声です。しかも突き抜けるようなパワーが感じられます。実は、このバンドの魅力のひとつが、このヴォーカルにあるのです。つまり、3人が交代しながらヴォーカルをとることによって、曲が単調になることが避けられているのです。それが、先に書いたメロディのわかりやすさと合わさって、非常にキャッチーでポップなサウンドを完成させているのです。

あと、ややマニアックな話になりますが、彼らが使用している楽器についても少し触れておかなければなりません。というのはギターは7弦ギター、ベースは5弦ベースを用いているのです。普通ギターは6弦、ベースは4弦なのですが、そのもっとも低い音を出す弦よりもさらに低い音を出すことができるようになっているのです。これによって、低音がしっかり響きます。ヘビーなサウンドを鳴らし、その上にポップなメロディを乗せる、というのが彼らのロックなのです。

実は、このメンバー達、けっこうキャリアは長く、年齢もロック界では「年長者」になります。(とくにベースのjunkoさんの年齢を知った人は、誰でもはじめ冗談だろう、と思ってしまうほどです。)だからこそ、ハードさと柔軟さ、ポップさを兼ね備えた音楽を作ることができているのかもしれません。

きわめて個人的な意見ですが、トシをとったからロックはもう聴かない、というのは少し寂しいような気がします。

 

今回も、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。