明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常158 敗血症の恐さ

  1. こんにちは。

 

今回はまず近況報告から。

先日、PET-CT検査の結果、左の首筋に異常があるかもしれないということをご報告しましたが、先週、耳鼻咽喉科でエコー検査を受けたうえで、生体を注射器のようなものでほんの少し採取して、がん細胞がないかどうか調べてもらったのですが、本日その結果を聞いてきました。結果としては、今のところ明確なことは言えないが、少なくとも、さらに大きな検査を行って、次の治療に備える等の必要はないだろう、とのことで、3か月後にもう一度経過を見ることとなりました。まずは一安心です

 

一息ついて、帰宅した後ニュースを見て、俳優の渡辺 徹さんが61歳の若さで亡くなったことを知りました。敗血症だったそうです。ほんの一ヶ月ほど前に久しぶりにテレビでお見かけしたところだったので、大変驚きました。渡辺 徹さんといえば、刑事ドラマ「太陽にほえろ」で華々しくデビューした頃から知っていましたし、その後、体形はずいぶん変わってしまいましたが、軽妙な喋り方で、バラエティ番組には欠かせない存在になっていましたね。たしかに一か月前のテレビでは、ずいぶん痩せたなあ、という印象をうけましたが、そんなに悪い状況だとは思いもしませんでした。

敗血症とは、簡単に言えば、ウイルスや細菌が体内に入り込んでしまい、感染症になったことがきっかけとなり、その後体内で細菌が増殖して、全身で炎症が起き、最悪の場合、多くの臓器が障害を起こして、重篤化するという病気です。日本人の場合、その致死率は約20%にのぼるという恐ろしい病気です。また、各臓器に必要な酸素や栄養分が十分に供給されなくなると、敗血症性ショックという状態に陥り、致死率は30~50%にまでなってしまうとのことです。

さらに恐ろしいのは、敗血症のきっかけとなる細菌やウイルスは、決して特殊なものばかりではなく、場合によっては、インフルエンザ・ウイルスや寄生虫など、私達の身近にあるものであることすらあり得るということです。したがって、比較的若い年齢でもこの病気に罹患する可能性があるのです。いずれにせよ、免疫力が低下している人ほど罹患しやすい、ということなので、私にとっても決して他人事ではないと思った次第です。

 

Dr.コトー診療所」というテレビ・ドラマをご存じでしょうか。原作は山田貴敏さんの漫画で、最初に放映されたのが2003年ですからずいぶん前のものですが、平均視聴率が20%前後のヒット作となり、その後特別編や続編が制作されています。いわゆる「医療もの」のドラマはずいぶん多く制作されていますが、離島の診療所で働く医師を主人公にしたものは、おそらく非常に珍しいでしょう。島の住民たちとのぶつかり合い、コミュニケーションを重ねる中で、さまざまな命のあり方を学んでいく彼のひたむきな姿は、「そんなスーパースターみたいな医師は滅多にいないだろう」と思いながらも、ついつい引き込まれてしまう、内容の濃いドラマです。主人公である医師役の吉岡秀隆さん(「北の国から」で子役として一気にブレークした人ですね)はもちろんですが、その脇を固める柴咲コウさん、時任三郎さん、泉谷しげるさん、小林薫さん、筧利夫さんといった名優たちの演技の素晴らしさ、そして主人公だけでなく、彼らの人生をもしっかりと描いた脚本も重厚で、秀逸でした。また、自分の命、自分と近い関係にある人たちの命を正面から見つめるということがいかに重いことであるのか、そして、だからこそ、そこに未来を見据えることができるということを思い知らされるのです。

このドラマ、間もなく16年ぶりに新作が映画として公開されるのですが、それに合わせる形で、現在、TVerGYAOなどのインターネット・サイトで過去の作品が無料で公開されています。過去に放映された時に見逃した方は、一度ご覧になることをお勧めします。

 

病気に関することを話題にすると、どうしても少し暗い文章になってしまいますね。(なるべく、感傷的にはならないように気をつけているのですが)

今回も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。