明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常 242 線路は続くよどこまでも?(1)

こんにちは。

 

先日、はじめて整形外科を受診してきました。前にも少し報告した腰の具合にあまり改善が認められないため、近所にある開業医で診てもらったのです。本当は、いつも通院している総合病院の方が手っ取り早いのですが、血液内科の主治医から「あそこはいつもすごく混んでいるから・・・」と言われたので、止むを得ず、という感じだったのです。しかし結果としては、気楽に話せる先生で、良かったと思っています。レントゲン

を撮って診断を受けた結果は、腰あたりの筋肉が衰えてしまっているので、ストレッチ等の体操(先生は「筋トレ」という言葉を使っていましたが、まあ、それほど大袈裟なものではないでしょう。)をした方がよい」という程度のものでした。つまり、さほど深刻な状況ではなく、中高年に差し掛かった人にもっともよくある一般的な「腰痛」というわけです。したがって、今のところは定期的に通う必要はなさそうです。人によっては、50歳前後から腰痛持ちになるようなので、私の年齢を考えると、発症はむしろ遅かった方かもしれません。「とにかく毎日体操をした方がよい。最近は、歩くことよりも体操が推奨されています。」とのことでした。

というわけで、朝夕15~20分程度のストレッチを始めたところです。さてさて、効果が出てくれれば良いのですが。

それから、念のために、腰に巻くコルセットをもらってきましたが、これはなかなか効果的ですね。外出先で着脱するのはちょっと煩わしいですが。

 

さて、以前も少し書きましたが、私は子供の頃から鉄道が大好きな人間でした。といっても、撮り鉄乗り鉄あるいは模型マニアではありません。小学生・中学生の頃は、ヒマがあれば飽きもせず時刻表を眺めていたものです。また、レールを見ているだけで、「ああ、この線路が日本中に繋がっていて、辿っていけば、全国どこにでも行けるんだ。」と妄想を膨らませていました。けっこうロマンティストだったのかもしれませんね。(笑)

そんな鉄道ファンにとって、今年3月は大きなニュースがありました。それは、北陸新幹線の金沢―敦賀間延伸開業です。長野―金沢間が開業してから9年。本来、北陸新幹線上越新幹線高崎駅から日本海側をまわって新大阪まで結ぶ、というルートが想定されており、敦賀は途中駅になります。そして、敦賀以西については、いくつかルートの候補があったものの、2016年、「小浜ルート」が自民党国会議員で作る与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームで決定されています。当初は、もっとも建設距離が短い米原ルートまたは既存の湖西線を利用できる湖西ルートが有力視されていたのですが、これが覆された形となっています。ただ、その開業は早くても2040年代になるだろうと予想されています。(この点については、別項で少し詳しく書くつもりです。)

つまり、敦賀が終点となるのは、あくまで新大阪開業までの暫定的な措置なのです。そして、敦賀から京都・大坂方面、あるいは名古屋方面に行くには、これから20~30年もの間、ここで在来線への乗り換えが必須となってしまったのです。

既に色々なところで報道されていますので、詳細は割愛しますが、敦賀駅での乗り換え、かなり評判が悪いようです。乗り換えに必要な時間は8分というのがJR西日本の想定ですが、それはあくまで移動にまったく支障のない場合であって、ある程度駅構内の様子がわかっている場合に限られます。高齢者や身体障碍者、多くの子供を連れている家族、大きなキャリーバッグ等を抱えている場合などは、この短時間での乗り換えは「絶対無理!」と酷評されています。また、普通に早足で歩ける人でも、敦賀駅でトイレに立ち寄ったり、買い物をしたりする余裕はおそらくほとんどないでしょう。ということは、敦賀駅売店も大きな売り上げは期待できない、ということですね。

もちろん、次の電車に乗れば時間的余裕は生まれますが、そうすると、せっかく新幹線に乗ったことによる時短効果がなくなってしまいます。また、これまで新幹線と在来線特急を乗り継ぐ際に適用されていた「乗り継ぎ割引(在来線特急券が半額になる)」が廃止されたため、特急料金は相当高くなってしまっているのです。(この「乗り継ぎ割引」は北陸新幹線だけのものではなく、基本的にはJR全線で適用されていたものですが、先月全面的に廃止されてしまいました。念のため。)

また、敦賀から関西へと走る特急サンダーバードはかなりの強風が吹き荒れることで有名な湖西線を走るため、しばしば大幅に遅延します。そんな時、敦賀での乗り換えがどうなるのか、下手をすると、大混乱になってしまうのではないか、と憂慮されています。

過去の事例を見ると、金沢・富山方面から北陸線を経由して越後湯沢で上越新幹線に乗り換えて東京方面に向かっていた際にも、北陸線の特急はしばしば遅延し、そのたびに越後湯沢駅の乗り換え改札口は自動改札を全開放して対応せざるを得ないことがよくありました。それでも新幹線ホームに着くのはギリギリになってしまい、ようやく自分の席で落ち着いたと思ったら、既に高崎付近まで来ていた、などということもありました。また、あんなことが繰り返されるのでしょうか。

北陸新幹線を走るE7系W7系) JR西日本のサイトより転載

 

 

在来線の特急サンダーバード(681系、683系)の先頭車両と最後尾車両。特急しらさぎも同じ車両を使用している。(カラーリングは異なる)JR西日本のサイトより転載



敦賀は京都・大坂からは1時間から1時間30分、富山・金沢からでもほぼ同様の所要時間となります。つまり、乗客は、旅の行程の途中で、乗り換えのために自分の時間を中断されてしまうのです。うたた寝していた人、パソコンで仕事をしていた人、読書していた人、食事をしていた人・・・皆にとって迷惑ですよね。私の場合は、列車でうつらうつらするのが好きなのですが、そんな時に「はい、乗り換えです!」とたたき起こされるのは正直なところまったく迷惑な話です。

ちなみに、敦賀から特急しらさぎ米原・名古屋方面に向かう人にとっては、もっとせわしなくなっています。敦賀からわずか30分の米原で、東海道新幹線への乗り換えまたはしらさぎ車内での座席の方向転換協力を要請されるため、ゆっくりしている時間はまったくないのです。

しかし、最大の問題は、やはり上にあげたような、通常より歩行に時間を要する人に「優しくない」ことでしょう。敦賀駅の新幹線ホームは3階、そして在来線特急のホームは1階ですので、エレベーターやエスカレーターを利用しても、どうしてもある程度は歩かざるを得ません。これが肉体的・精神的にかなりのストレスを誘発させてしまうことは、事前に予測できたはずなのですが、私の知る限り、JR側からのフォローはまったく不十分です。こんなに利用者に「優しくない」乗り換えは他にあまりないのでは?と思ってしまいます。

とはいえ、既に完成してしまった敦賀駅を今から大幅に改築することは不可能です。では、現段階でとりあえずできることは何なのでしょうか。

私にも妙案があるわけではないのですが、最低限出来ることとして、指定席券を販売する際、とくに客側からの希望がなくても、なるべく歩く距離が短くなるように、両列車の席を確保するよう、みどりの窓口等で徹底する、ということは必要だと思います。新幹線車両は1両25~30m程度ありますから、たとえ1両分だけでも歩くのに1分以上かかってしまう方も少なくないはずです。そうした負担を少しでも軽減するには、指定席の確定時点で出来る限り歩く距離が短くなるよう配慮を行う、というのは、鉄道を動かしている会社としての責務ではないでしょうか。(最近は、みどりの窓口そのものがどんどん閉鎖されていて、これもまた利用客をないがしろにするものではないか、と問題視されているところですが、ここではこれ以上深堀りは止めておきます。まあ、みどりの券売機みどりの券売機プラスをもっと利用しやすいように工夫してもらいたい、ということだけ、とりあえず記しておきます。ちなみに、私自身は、JTB等事前予約のできる旅行会社の窓口で切符を買うようにしています。大きな駅のみどりの窓口の行列は、とんでもないことになっていますので。)

敦賀以西のルート案



敦賀という街は、明治時代には大陸に渡る航路の港として注目され、とても栄えたところですが、その後はどちらかというと地味な存在で、1970年代以降は、原発のイメージが強くなってしまったところです。つまり、観光地としての注目はあまり浴びてこなかったところです。しかし今、新幹線開業に合わせて、敦賀近郊を観光地として見直し、首都圏等からの集客を図ろうとする動きが加速化しています。その中にはとても魅力的な試みもあるようで、これを機会に敦賀(あるいは福井県全体)がもっと繫栄するようになれば素晴らしいことだと思います。しかし、今回紹介したような新幹線および駅のマイナスの面が注目されてしまうと、せっかくのチャンスが萎んでしまいかねません。そんなことにならないよう、JRや福井県敦賀市には不断の努力を重ねてほしいものです。

 

今回も、最後まで読んでくださりありがとうございました。