明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常55 がん検診はやっぱり重要

こんにちは。

 

先月来約一か月続いていたマンションのエレベーター取り換え工事がようやく終わり、昨日の夕方から、元通り使えるようになりました。我が家は6階ですので、荷物がほとんどないときはとくに問題はなったのですが、重い荷物を抱えている時などは、上まで登るとさすがに少し息があがっていましたので、ほっとしているところです。

やっぱり、普段当たり前に思っていることが、実は全然当たり前ではないのですね。便利な生活を享受しているということを、もっと大事に感じなくてはならない、とつくづく思い知らされました。

それにしても、宅配便の配達員の方ってすごいですね。結構大きな荷物を持っていても、まったく息を切らさず、上まで駆け上がってくるのですから。本当にありがたいことです。

 

ところで、昨日ひとつちょっと気になるニュースを見つけましたので、今回はそれを簡単に紹介しようと思います。

日本対がん協会などの調査によると、新型コロナ・ウイルス感染症の影響で、がん検診が中止されたり受診控えが増えたりした結果、2020年1年間で、がんの診断そのものも9.2%減ったそうです。部位別では、減少幅が多い順に胃がん(13.4%減)、大腸(10.2%減)、乳(8.2%減)、肺(6.4%減)、子宮頸部(4.8%減)だったそうです。

この結果、約45000人ものがん罹患発見に遅れが生じた可能性がある、と報告書は述べています。しかもこの調査では、比較的患者数の多い5つのがんを調査対象にしているだけですので、がん全体となると、どのような数字になるのか、ちょっと想像もつきません。

なお、胃がんの診断がとくに減っているのは、この診断や治療には口や鼻から内視鏡を入れることが多いため、これをためらった病院や患者が少なからずいたのではないか、ということだそうです。

今さら言うまでもなく、がんという病気は早期に発見できれば、それだけ治療は容易となり、完治する確率も上昇します。例えば胃がんの場合、ステージⅠの場合は10年生存率が90%以上であるのに、ステージⅣまで進行すると、この数字は10%以下にまで落ち込んでしまいます。

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国立がん研究センターのサイトより引用)


もともと日本という国は、先進国の中ではがん検視率は決して高くありません。少し古いデータですが、2015年現在で、アメリカで80.8%、イギリスで75.8%、韓国で64.3%であるのに対して、日本ではわずか41.0%に過ぎませんでした。(もちろん、部位による差はありますが、話がややこしくなりすぎますので、ここでは割愛します。)

この事態を受けて、近年では厚生労働省も、受診率50%をめざして、各企業・事業所に対して従業員のがん検診に積極的に取り組むよう支援を行うなど、さまざまな取組を行ってきたのですが、コロナがこれに冷や水を浴びせかけたような格好となっています。

この1年間、検診を受けることをためらってきた方の気持ちも、これに注力する余裕のなかった病院の事情も、大変よく理解はできます。しかし、そうこうしているうちに病気が進行し、命にかかわるような事態になってしまえば、元も子もありません。

もちろん、がん検診にはそれなりに身体的負担が伴うこともあります。内視鏡検査によって胃や内臓に傷がついてしまうリスクはありますし、放射線被爆の問題もあり、既に体力を相当失っている高齢者などには安直に勧められるものではありません。

また、結果が必ず100%正しい、という保証もありません。

最近では血液一滴で診断ができる、という方法も開発されつつあるようですが、まだ一般に普及するところまでには至っていません。

それでも「受診した方が良い」と言われるのは、やはり早期発見によって効果的な治療が期待できるからに他ありません。

また、この検診によって、がん以外の病気が発見されることもあるようです。

すでにこのブログでも紹介してきましたように、現在、確率的にみると日本人の2人に1人はがんに罹患する時代です。また、男性は概ね60歳前後から、そして女性の場合は概ね45歳前後からそのリスクは急に大きくなっています。

受診しようと思いながら、控えてきた方は、コロナ感染が比較的収まってきている今のうちに再考されてはいかがでしょうか。残念ながら、病院側の体制はまだまだ完全に元通り、というわけにはいかないようですが、それでも人間ドックをはじめとする各種検診を積極的に行っている所はけっこうあるようです。また、自治体による金銭的補助も探してみることをお勧めします。

 

今回も、最後まで読んでくださってありがとうございました。