明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常54 ラジカセよ、永遠に??

こんにちは。

 

ここのところ、紅葉も少しずつ進み、すっかり秋真っ只中という感じですね。昨日、近隣の比較的広い公園に散歩に出かけましたが、「色づきはじめ」というところでした。ただ、すべての木が真っ赤、あるいは真っ黄色に染まるのはもちろん美しいのですが、私は、今の時期の、青葉も残っているし、紅葉もみられる、というようなさまざまな色彩が楽しめる景色が大好きです。北国に行くと、そろそろ山の上は冠雪しつつありますから、青色、赤色に白という色が加わり、そのコントラストはいっそう美しくなりますね。

 

ところで、先日の投稿でショパン国際コンクールの様子がYou Tubeで鑑賞できることをご紹介しましたが、それを読んでくれた学生時代からの旧友が、さっそくこれを見て「本当に便利な時代になったね。我々の学生の頃はラジカセを持ってウロウロするのが関の山だったのに」という反応をくれました。

ラジカセっていうもの、久しぶりに思い出しました。そういえば、あの頃はラジカセ全盛期で、オーディオ各社はこぞって新製品を販売していました。次第に高機能、大型になり、価格もそれなりに高価なものになりつつありましたが、手軽に音楽に親しむ道具として、誰もが所有していたと思います。

今考えてみると、ラジカセというのは本当に万能の機械でした。ふつうにラジオ番組を雑音なしに録音できることはもちろん、友達同士でカセットテープのダビングを行うのにも活躍してくれました。レコードを買う余裕などなかった学生にとっては、この2つの方法が自分の楽しむ音楽を増やすもっとも簡便な方法だったわけですが、「エアチェック」「カセットテープ」「ダビング」いずれの言葉も、今の若者には??でしょうね。あの頃、FM放送で流れる曲を2週間分ほとんどすべて掲載したFM雑誌が4種類(だったと思います)発行され、どれもそれなりに売れていたのですが、ラジカセがなければ、あれを読んでエアチェックに備えるというやり方も、そんなに広まりはしなかったでしょう。

また、カセットテープには「ノーマルポジション」「ハイポジション」「フェリクローム」「メタル」の4種類があったのですが、音質は良いけれども高価なメタルテープを買う人はきわめて少数で、カネのない学生はみんなノーマルポジションで十分満足していました。ただ、これには大きな欠陥もありました。ノーマルからノーマルへというダビングを数回繰り返すと、みるみる音質は劣化してしまうのです。当時は「こんなものだろう」と思っていましたが、現在のようにデジタル・データでやり取りすることによって、音質劣化などということがほとんど問題にならなくなると、さすがにテープ・ダビングの時代には戻ろうとは思わなくなりましたね。

また、たいていのラジカセは内蔵マイクを備えていましたので、外出する際にもこれを持って行き、簡単にナマ録音をすることもできました。当時すでに、ナマ録音専用ともいえるカセット・レコーダーであるSonyの「カセットデンスケ」がプロの現場では普及していましたが、我々にそんなものを買う余裕があるはずもなく、音質の落ちるラジカセでの録音で、十分と思っていたものです。私は合唱団という音楽系のサークルに所属していましたので、その演奏の録音や記録保存にも、ラジカセが大活躍したのです。

その後時代は、貸しレコード屋でお気に入りのレコードを借りてくるという時期を経て、1980年代末には一気にCD全盛期となり、音楽を聴く上での気軽さはどんどん増していきました。(それまでのLPと比べると、CD4の扱いやすさにも、驚きを感じたものです。)

そして今や、CDも市場からは消えつつあり、音楽を入手する手段はもっぱらダウンロードまたはサブスク(ストリーミング・サービス)になりつつありますね。最近CDショップには全然行っていないな、という方は一度試しに訪れてみてください。驚きますよ。旧譜が10枚組ぐらいのボックス・セットになって、ワゴン・セールで、2000円から3000円などというたんでもない投げ売りが行われていますから。ああいうのを見ると、CDはやがて消える運命なのだな、と痛感させられます。

ただ、若い人に聞くと、聞き流す音楽はサブスクやyou tubeで十分だけど、自分の手元にずっと残しておきたい音源はやっぱりCDで持っていたい、という人もまだ少なくないようです。それより深刻なのは、ゲームやネット・サーフィンに夢中で、音楽を聴く時間そのものが減っている人が多いことのようです。娯楽がどんどん多様化しているなかで、「音楽を聴く」というのは変人の趣味になってしまうのでしょうか。

 

今回の投稿を読んで、うんうんと頷いてしまった方、きっと私とあまり年齢の変わらない方ですね? 何のことだかさっぱりわからないという方、申し訳ありません。質問があれば私のできる範囲でお答えしますので、「年寄りの戯言」と思わずにいてくだされば幸いです。

 

今回も最後まで読んでくださって、ありがとうございました。