こんにちは。
前回の投稿で、オーストリアにおけるコロナ・ウイルス再拡大に伴う行動規制強化についてご紹介しましたが、案の定、かなり混乱が生じているようです。報道によると、去る11月19日には4000人規模、そして20日にはウイーンで数万人が参加するデモが行われたようです。そして参加者は「コロナ独裁」とか「社会の分断」などと書かれたプラカードを掲げていた人も多く、中にはナチス・ドイツがユダヤ人に着用させた「ダビデの星」を思わせるワッペンに「ワクチン未接種」と書いて、これを付けていた人もいたそうです。
(ダビデの星はもともとユダヤ教あるいはユダヤ民族のシンボルで、イスラエルの国旗にも描かれています。しかし、ナチスは迫害対象であるユダヤ人をそれ以外の人達と区別するために、下のような目印の入った腕章等をつけることを強制したのです。映画等でご覧になったことのある方もいらっしゃるでしょう。ここでは真ん中に「jude(ユダヤ人)」と書かれていますが、この部分に「ワクチン未接種」と書いてあるのです。「俺を拘束できるものなら、やってみろ」という挑発でしょうか。)
もちろん、これに対しては政府側も「ナチスの犠牲になった数百万人とその家族を侮辱している」と強く非難していますが、いずれにせよ、人々が大きな不安感にさいなまれていることは確かなようです。
コロナ感染拡大を防ぐための行動規制やロックダウンをナチスのやったことになぞらえるのは、明らかに「やりすぎ」ですし、コロナ・ウイルスそのものを某国の陰謀とみなす極端な意見と同じで、どう考えても賛同できるものではありません。ただ、デモというものがほとんど行われない現代の日本のおとなしい状況を振り返ると、個人の尊厳を自分で守るという観点からは、どちらが正しいのか、正直なところ少し迷ってしまいます。
今の日本社会では、匿名でのネットへの書き込みは盛んにおこなわれていても、自分の正体を明らかにしたうえで、社会全体で進みつつあることに正々堂々と疑問を呈していくような風潮は、ほとんど見られないですよね。誰もが「炎上」を恐れて、表面上はおとなしくしておき、そのフラストレーションをSNSや掲示板での過激な書き込みで解消しようとする。もっとひどい場合は、特定の人物に対して匿名で誹謗中傷や口撃を行う。
本当にこれで良いのでしょうか。
かといって、過激なデモの結果、死傷者が出てしまうのは、もちろん望ましいことではありませんが・・・うーん、むずかしいところです。「社会の分断」は誰も望んではいないはずなのですが。
オーストリアでの話題をもう一回書く予定です。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。