明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常101 米寿と虎屋のようかん

こんにちは。

 

あと一週間でゴールデン・ウィークですね。皆さんは、何か計画を立てておられるでしょうか。新幹線や飛行機の予約状況は、昨年よりはかなりマシになっているようですが、それでもコロナ前に比べると、まだまだ低調のようですね。まあ、感染状況を見てから決めようと思っていた方も多いでしょうから、これからもう少し予約が入るのかもしれません。ただ、いずれにせよ例年よりは近場の旅行が増えるのは仕方ないかもしれませんね。早く、日本が元の姿に戻るといいのですが・・・でも、どこへ行っても人だらけ、という連休も、それはそれであまり歓迎したくはありません。むずかしいところですね。

 

ところで、大変私的なことで申し訳ありませんが、先日、母が無事米寿を迎えました。米寿の祝いは、室町時代に生まれた日本独特の風習だそうですが、365日×88=32120日という日数の重みは半端なものではありません。その一日一日に彼女の想いが詰まっており、その積み重ねの上に今日という日があるわけですから、よく考えると、すごいことです。

日本は高齢化社会を迎え、85歳以上の方が男女合わせて既に65万人以上にものぼっています。この人達のほとんどはいわゆる労働力人口とは見なされないため、ともすれば、その比率がどんどん大きくなることを単純に日本の将来に向けてのマイナス要素とみなしてしまう傾向があります。たしかに、GDPの上昇には寄与しないかもしれませんし、社会保障費の増加要因としては大きな問題であることは事実です。しかし、そうした経済的な側面だけに目を奪われるのではなく、この人達の積み上げてきた有形無形のモノを貴重な資産と捉え、それをもっと活かした社会形成という考え方が広まると良いのにな、と思います。

また、年齢を重ねても、なお色々と新しいことにチャレンジしている方がたくさんいらっしゃることも、単に「高齢者のわりにはすごいね」というのではなく、年齢というものを超越したライフスタイルとして、見ていくべきではないでしょうか。

ちなみに、母は今でも日本画を習い、一年に一枚はかなり大きな絵を仕上げています。

 

そんなわけで、先日の誕生日にはちょっとしたサプライズのプレゼントを用意しました。

京都に虎屋という和菓子屋さんがあります。創業は室町時代後期で、現当主は17代目にあたるそうですから、老舗の多い京都でも指折りの歴史を持つ店でしょう。こちらの商品、とくにようかんは、長年にわたっていわゆる「皇室御用達」を務め、皇室だけではなく日本の上流階級に幅広く重用されたようで、明治の世になって天皇が東京に移られた時には、一緒に本店を東京に移したほどです。ただ、今でも京都の人々は「虎屋は京都の店だ」という誇りをもっており、京都御所のすぐそばに、こじんまりとはしていますが、とても上品で格式の高さをうかがわせる店を構えています。

この虎屋さん、あまり知られてはいないのですが、オートクチュールという特注品を扱っています。客側の要望に沿ったデザインで、羊羹をベースにした世界にひとつしかない和菓子を作ってくれるのです。そこで、昨年、母が描いて、ある展覧会で入選した絵を元にして、一辺が13cm程度の和菓子に仕立ててもらったのです。

実物は、下の写真の通りですが、思っていた以上の出来で、虎屋さんの技術の高さに驚かされました。そして母は、自分の絵を元にした、ということで、大変喜び、何度も「食べるのがもったいない」と言っておりました。まあ、そう言いながら、写真を撮り終わると、あっという間に包丁を入れていましたが・・・(笑)

虎屋さんの作った菓子

菓子のデザインの元になった母の絵



大切な方への贈り物として、このような一点物を選ぶのも悪くないですね。

ちなみに、お値段ですが、もちろん格安ではありませんが、おそらく皆さんが想像しているよりは、かなりリーズナブルだと思います。実際にオーダーするためには、職人さんとの打ち合わせ等も必要になるので、遠方の方にはちょっと難しいかもしれませんが。

 

今回も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。