明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常34 今の私

こんにちは。

 

今日からパラリンピックが始まりますね。コロナ禍はますます深刻になっていますが、中止あるいは延期しようという動きは、今のところまったく出てきていません。まあ、オリンピックを開催した以上、パラリンピックだけ中止することはできないだろう、という思いがあるのは当然ですし、私も、とにかくさまざまな問題が起きないように、円滑に運営されることを祈るばかりです。

ただ、コロナの話とは別に、私には、近年のパラリンピックをめぐる報道の盛り上がりにはちょっとした違和感をもち続けています。障害をもっている人が、そのハンディキャップを跳ね返すかのように、競技に打ち込む姿は素晴らしい。そのことには素直に感動します。ただ、障害をもっていても頑張っている人は、スポーツの分野だけにいるわけではありません。そして、そうした人々の多くは、障害の有無とは関係なく、健常者(これはあまり使いたくない表現ですが、まあ、障害を一切もっていない人、という意味に理解してください。)と同じ土俵で、仕事等に打ち込んでいます。

誰でも知っている例をひとつあげるならば、天体物理学の分野で画期的な業績を残した故スティーヴン・ホーキング博士があげられます。彼の残した業績とその後の天文学の発展への影響は、誰もが認めるところでしょう。しかしそれは、彼が重い障害を抱えていたということとはまったく無関係なのです。こういう例は、科学だけでなく、芸術の分野にもたくさんあります。また、一般企業で働いているサラリーマンにも、同じような方はたくさんいらっしゃいます。

繰り返しますが、パラリンピックに挑むアスリート達の努力を否定するつもりはまったくありません。ただ、彼らがメダルを取った、とか入賞した、とかいう話に終始してしまうのは、ゆがんだ見方なのです。彼らは決して「特別な存在」ではなく、同じように努力を重ねている人は、私たちの身の回りにたくさんいらっしゃること、そしてそういう方も含めての、多様性のある社会をどのように作っていくのか、ということにもっと思いを馳せなくてはならないと思うのです。

 

さて、前回の投稿で、ダラキューロを軸とする治療が始まった話を少し詳しく書きました。

このダラキューロによる治療、当面は1週間に1度の間隔で3週間続けることで1サイクルが終了し、これを3サイクルこなすことになっています。(その後は、様子を見ながら薬の使用料や注射の頻度を考慮することになります。)私の場合、1週目を入院によって行いましたが、その結果、とくに大きな問題はありませんでしたので、次の週からは通院治療に切り替わりました。つまり、毎週1回通院して、まず問診を受け、血液検査等の結果を見て、問題がなければ、その場でダラキューロの注射、という手順です。実際には、注射の1時間前に、3種類の薬を服用しなくてはいけませんので、病院の滞在時間はどうしても最短で2時間程度にはなってしまいます。それでも、患者としての負担は随分軽くなったものです。医療の進歩に、改めて感謝、です。

こうして第1サイクルを終了しましたが、そこで、この治療はいったん中断しました。ちょうど新型コロナのワクチン接種が加速化し始めたのがこの時期で、主治医の先生と相談した結果、ダラキューロ治療にしても、ワクチン接種にしても、どのような反応が体に出るか予測ができないので、同時並行でこれらを行うのは望ましくないだろう、そうならば、まずはワクチン接種を優先させよう、ということになったわけです。

私のワクチン接種は、1回目が7月16日、2回目が8月13日でした。モデルナ製のワクチンのため、2回の間に4週間空けたのです。その後、抗体ができるまでに約2週間かかりますので、それらがすべて落ち着いた9月初旬から、治療を再開する、というのが今のところの予定です。結果的に、1か月半ほど治療を中断することになるのですが、これは、私のがん細胞(あれ? 変な表現ですね。笑)の動きが比較的緩やかで、そんなに急速に悪化することはないだろう、という判断があったからです。がん患者がどのようなスケジュールでワクチン接種を行うのかは、おそらく担当医師の判断によって、かなり違いがあると思われます。一般論としては、免疫力が低下いている人が多いのだから、感染を防ぐために、少しでも早く接種した方が良い、ということにはなるのですが。

 

そういうわけで、現在の私は、新型コロナウイルスに対する抗体ができるのを待っている状況です。以前の投稿でも書きましたが、ワクチン接種時の副反応はほとんどなく、今は少し平穏な気分で暮らしているところですが、コロナの陽性者の急激な増加は、そんな気持ちをふっとばしてしまうもので、何となくもやもやした気持ちで日々を過ごしています。

 

今回までの投稿で、この7年間の私の病気に関する記事は書き終わり、ようやく現在進行形のところにまで追いついてきました。

今後のこのブログですが、主に多発性骨髄腫あるいはがんという病気全般に関する話題をなるべくたくさん取り上げるつもりですが、そればかりだと記事が重くなってしまいますので、私自身がどのように「明日を生きる」のか、日々のどうでもいいような軽い話題を交えて紹介していこうと思っています。投稿は不定期になってしまうと思いますが、引き続き、よろしくお願いいたします。