明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常57 【2021年版】がん患者の10年生存率発表!

こんにちは。

 

昨日で、現在の治療の第4クールが無事終了しました。相変わらず、注射を打った日と翌日は、少し食欲が落ちる(というよりは、胃の働きが鈍くなって、通常より少量しか食べられなくなる)こと以外、大きな副作用は出ていません。あとは、ほんの時々、足先が2~3秒しびれることがあるぐらいでしょうか。こちらは歩行等にはまったく支障はありません。

ダラキューロ治療を開始した当初は、よくしゃっくりが出たのですが、それはどうやら収まっています。もっとも、出そうな気配を感じたら、すぐに水を飲んで対処しているからかもしれませんが。

来週は治療おやすみ。この調子でいけば、年内はあと1クールでしょうか。色々聞いている限りでは、このダラキューロによって激しい副作用が生じたという患者さんは、全国でもあまりいらっしゃらないようですね。このブログを読んでいらっしゃる方で、ダラキューロ治療をしている方がおられましたら、差し支えない範囲でご様子を教えて頂きたいです。それから、昨日は約3か月ぶりに会った看護師さんに「なんだか以前より顔色が良くなったようなきがしますね。」と言われました。自分では毎日鏡を見ていますから気が付かなかったのですが、本当にそうならば、ダラキューロが着実に効果を発揮しているということで、これは少しうれしかったですね。

 

ところで、一昨日(11月10日)、国立がん研究センターが、2005~08年にがんと診断された人の10年後の生存率が、様々な部位のがん全体で58.9%という最新の集計結果を発表しました。ちなみに、つい先日もご紹介した前回集計の04~07年のデータよりも、0.6ポイント上昇しています。メディアによっては、この数字を「微増」と表現しているところもありますが、わずか06.ポイントであっても、数字が上昇することは医療に携わる方々の努力の賜物ですし、患者側としては、それを率直に感謝し、喜びたいと思います。もちろん、約4割の方が10年以内に亡くなっているのですから、「がんは治る病気になった」というのは言い過ぎかもしれませんが、それでも、着実に前進はしているのです。

なお、主な部位別、ステージ別の10年生存率は以下の通りです。(詳細は、直接、国立がん研究センターのホームページで確認してください。)

部位によってのバラつきがありますが、ステージ4になると一気に数値が低下してしまうことは共通しています。やはり、先日も書いたように早期発見が何よりも重要なようです。

      全体     【1期】 【2期】 【3期】 【4期】

食道                     34.4      74.9   39.6              20.7    8.1

胃       67.3        90.3   57.0    37.2    5.8

大腸      69.7      94.8   83.0    76.2   13.8

肝       17.6      30.2   17.5    6.7    2.0

膵(すい)    6.6      32.1   12.2    3.4    0.9

肺       33.6       67.6   34.5    13.1    2.1

乳(女性)   87.5   98.3   88.7    66.6   18.5

子宮頸部(けいぶ)68.2  88.8   68.0    51.7   19.6

子宮体部     82.3  94.0   84.5    62.1   13.3

卵巣       51.0  84.8   62.4    28.5   14.0

前立腺      99.2  100.0  100.0    98.5   45.0

膀胱(ぼうこう) 63.0  74.9   68.9    51.9    9.9

 

ただ、この生存率という言葉に振り回されないほうが良い、という専門家もいらっしゃいます。10年生存率とは、がんに罹患した人数のうち、主要な治療(手術など)をした後10年間生存し続けた人の割合を示しますが、このデータはにほんじんすべての罹患者を集計したものではありません。全国がんセンター協議会に加盟する27都道府県の医療機関32施設で診断を受けた約12万1000人を集計したものに過ぎないのです。そして、これらのうちの多くは、国立がん研究センターの調査に日頃より協力的で、がん治療についてもその知見を十分に活かしている機関と思われます。ですから、日本全体を見た時には、実態はこれより少し低くなっている可能性は否定できません。

また、このデータだけでは、年齢による差異を読み取ることはできません。一般常識として、高齢になるほど他の病気に罹患する割合も高くなります。公表されているデータは、そうした他の病気で亡くなった方は対象としていませんが、その病気ががんの再発や転移などに影響を受けたものであることも十分あり得るのです。つまり、がん患者であるにもかかわらず、死因そのものは別の病気と判断されるかもしれないのです。こうした例を除外してしまって良いのかどうか、もう少し議論すべきだと思います。

上に書いた2点は、統計処理上の問題で、患者側にはどうすることもできないのですが、すべての人が注意しておかなければならない点もあります。それは、生存率はあくまでも生存している人の割合であって、治って元気に生活している人の割合ではない、ということです。なので、中には「途中でがんが再発し治療を受けながら10年後に生存している人」や「手術でがんが完全に取り切れず闘病しているが10年間乗り切っている人」なども含まれているのです。

私たちは、こうしたデータの性格をしっかりと踏まえたうえで、がんという病気に対峙していく必要があります。悲観しすぎたり、ぬか喜びしたりせず、日々の自分の体調をしっかりと見て、主治医の先生等と密なコミュニケーションをとっていく、ということに尽きるのでしょう。

 

今回も、最後まで読んでくださって、ありがとうございました。次回の投稿はたぶん来週初めになると思いますが、もう少しだけ、国立がん研究センターの最新データをもとにして、私なりの見解を書いていくつもりです。気楽なネタはその後になってしまうかもしれませんが、おつき合いのほど、よろしくお願いします。