明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常72 光害ってご存じですか?

こんにちは。

 

今回はまず、前回の続きを少し。

宮川花子さんですが、一時は本当に危なかったみたいですね。下半身不随の状況に陥り、医師からはなんと「余命1週間」を宣告されていたそうで、その時のご本人の衝撃はちょっと計り知れないものがあります。本当に、よく日常に戻ってこられたものだと思います。

それから、佐野史郎さんが無事退院された、という報道もありました。彼の場合は、造血幹細胞自家移植という大きな治療を終えて、その回復を待っていたということなのでしょうが、予想よりも早い退院になったとのことで、なによりです。

お二人とも、年末年始になる前に新たな一歩を踏み出せたのは、同じ病気を抱える人間として、本当に嬉しい限りです、正月を病院のベッドで過ごすなんて、やっぱり嫌ですよね。

ただ、そうは言っても、年をまたいで入院を続ける方はたくさんいらっしゃいます。そういう方のために、病院側では簡単なおせち料理(のようなもの)を出すなど、色々と工夫はしています。

そういえば、私の経験では、土用の丑の日の夕食に鰻丼が出てきたことがあります。(これは以前の投稿でご紹介しました。)また、ハロウィンの日には、いつもよりデザートが余計に配られて、何かと思ったら、カボチャのプリンでした。あれも少し笑ってしまいましたね。もっとも、同室の年老いた方は、何のことだかさっぱりわかっておられなかったみたいです。

まあ、入院生活が長くなると、こういったアクセントのようなものも必要です。病院の外での日常生活を思い出すことにもなりますから。

 

年末にこういった光の差すような少し明るい話題ができることはとてもうれしいことです。そして年末あるいは冬の「光」と言えば、各地で行われるライトアップやイルミネーションですよね。(話の転換が強引で、申し訳ありません。)

 

少し前になるのですが、京都・嵐山の花灯路というライトアップのイベントに行ってきました。嵐山と言えば、京都でも有数の観光名所で、なかでも渡月橋の眺めはよく紹介されます。私の出かけたイベントでは、渡月橋ももちろんライトアップされていましたが、もっともメインになるのが、竹林の小路のライトアップ。写真を見て頂ければわかるように、竹林の中にライトを仕込んで、ほんのりと周りを照らす、というかなり上品なものです。こういう言い方をすると良くないかもしれませんが、大都会のイルミネーションとは一味違う、風情を感じさせてくれるものでした。

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近年、こうしたイベントは全国各地で行われていますね。とくにLEDライトが普及してからは、熱を持たないので扱いやすいうえに、色彩の演出もいろいろできて、そのバリエーションがどんどん増えています。ただ、本来暗いはずの所にライトを当てるわけなので、それなりの弊害も指摘されているところです。それが「光害」と呼ばれるものです。

環境省の出している「光害対策ガイドライン」によると、光害とは下記のようにかなり多岐にわたるものです。

(1) 動植物への影響

(a) 野生動植物

①昆虫類 ②哺乳類・両生類・爬虫類 ③鳥類 ④魚類

⑤植物 ⑥生態系

(b) 農作物・家畜

①農作物 ②家畜

(2) 人間の諸活動への影響

(a) 天体観測への影響

(b) 居住者への影響(住居窓面)

(c) 歩行者への影響

(d) 交通機関への影響

①自動車 ②船舶・航空機

 

こうやって並べてみると、ライトアップされている時にだけその場所を訪れて「きれいだなあ」などと呑気なことを言っている自分がちょっと恥ずかしくなってきます。普段からそこで生活している人々や動植物にとっては、とんでもなく迷惑になることもあるのですね。

今回の嵐山のライトアップに関しては、私の見る限り、光害にはかなり配慮されているようにも感じました。おそらく、専門家の意見を取り入れたうえでのライト設置が行われているのではないでしょうか。

個人的には、キラキラした眩いばかりのイルミネーションよりも、こういう薄ぼんやりとしたような明かりの方が好きです。まあ、人の好みは色々なので、そのこと自体はここではこれ以上は触れません。ただ、コロナ禍の前、外国人観光客をもっと惹きつけるためには日本でも「ナイト・エコノミー」が必要だという議論があったことを覚えていらっしゃるでしょうか。要するに、夜ももっとたくさんの店を開け、イベントを開催することによって、観光客にお金を使ってもらおう、ということなのですが、これにはあまり賛同できないでいます。そして、イルミネーション等がそれを演出するための手段として用いられるのならば、「ちょっと待ってくれ」と言いたくなります。(これについては別の機会に書きます。)

いずれにせよ、周囲の環境への影響を思いやるような気持ちは失わずにいたいものですね。

 

なお、嵐山の花灯路はすでに終了しています。また、京都市の財政難その他の理由により、2005年に始まったこのイベントは今年で最後になるそうです。行ってみたい、と思った方、悪しからず。

 

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

猛烈な寒波襲来で、各地に被害が出ているようです。皆さん、お気をつけください。