明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常202 プロ野球選手とがん罹患

こんにちは。

 

多くの地域で梅雨が明けいよいよ夏本番です。とはいえ、今年はしばらく前から高い気温が続いており、既にうんざりしているというのも否定できません。まだまだこれから2か月近く、こういう暑さが続くのでしょうか。せめて、今も東北地方で続いている大雨が早く収まってくれればいいのですが。

 

ところで、横田慎太郎というプロ野球選手をご存じでしょうか。1995年生まれのこの人は、2014年に阪神タイガースに入団、強肩俊足の外野手として将来を嘱望されたのですが、2017年に脳腫瘍と診断れ、その後懸命に治療とリハビリを続け、一時は実践復帰も果たしましたが、「ボールが二重に見える」ということで2019年シーズンを最後に、現役を引退しています。その後も野球にかかわる活動を行っていましたが、2020年には脊髄に腫瘍が見つかり、それが完全に消滅し、以降は執筆や講演活動も行っていたのですが、2022年には脳腫瘍の再々発が見つかり、結局、つい先日、2023年7月18日に帰らぬ人となってしまいました。享年28歳。本当に若すぎる最期でした。

この人の著書に「奇跡のバックホーム」(幻冬舎刊)があります。このタイトルは、彼の引退試合となった2019年9月の対ソフトバンク・ホークスの試合(ウエスタンリーグの2軍戦)で、途中出場の彼が起こした、まさに「奇跡」とも言えるような好返球で、ヒットでホームへの生還を狙っていた2塁ランナーをアウトにしたことに由来しています。なかなか実績を残せないことへの焦りもあったでしょうし、「なぜ自分がこんな病気に」という悔しい思いもあったでしょうが、現役最後の試合でこんなスーパープレイを披露した彼は、ひょっとすると幸せだったのかもしれません。

なお、このプレーの様子は、現在でもYouTubeで見ることができます。興味のある方は、一度ご覧ください。

 

https://youtu.be/Pyc84naQaj8

 

こんな、ドラマみたいなことが実際にあるんですね。

 

もうひとつ、野球選手の病気にかかわる、ドラマティックなエピソードを紹介します。

横田さんと同じ阪神タイガース原口文仁という選手がいます。1992年生まれのこの人は今も現役で頑張っていますが、これまでにかなりの紆余曲折を経てきた人です。その最大のものが、2019年はじめ、大腸がんのステージ3Bに罹患していることを公表、それから約半年は治療とリハビリに専念する日々を送ったことです。しかし、なんと6月には一軍に復帰する、という驚異的な回復を見せたのです。そして、周囲の熱い応援もあり、この年のオールスターゲームへの出場を果たし、驚くことに、ここで2試合連続ホームランを打つ、という離れ業をやってのけたのです。

その後、若手選手の台頭などもあり、残念ながらレギュラー・ポジションを獲得するには至っていませんが、勝負強い打撃は、この球団にとって今も貴重な戦力となっていることはたしかです。

 

言うまでもないことですが、スポーツ選手は普通の人間よりもはるかに厳しく体を鍛えているはずです。健康にも人一倍気をつけているでしょう。それでも、がんという病気は容赦してくれません。もちろん、罹患した部位やそれがわかった時のステージ、転移の状況によって、その後の経過は大きく変わってきますので、一概に言うことができないのは、横田さん、原口さんの例を見ても明らかです。また、野球選手以外でも、競泳の池江璃花子さん(白血病)のように見事な復活を果たしている人もいれば、バレーボールの藤井直伸さん(胃がん)のように、わずか31歳で亡くなってしまう例もあります。しかし、これらすべての人達に共通するのは、「残された命は保証されたものではない。だからこそ、前を向き、日々、充実した生き方をしていかなければならない。」という思いだったのではないでしょうか。現役スポーツ選手の場合は、皆さん年齢も若いですから、余計に「なんとか現役復帰を」という強い意志があったのでしょう。しかし、こういう気持ちは、年齢に関係なく、持つべきなのでしょう。我が身を振り返って、そんなことを想った次第です。

 

かく言う私ですが、既にこのブログでもお伝えしましたが、そろそろ現在使用している薬であるダラキューロを中心とした治療の効果が弱くなってきたので、次の薬への切り替えをすることになりました。次は、サークリサという2021年に承認されたばかりの新薬を中心に、いくつかの薬を併用することになりそうです。今回は、点滴による治療、ということで、毎回、ちょっと時間がかかりそうですが、まあ、しょうがないですね。

その第1回は8月中旬に予定されているのですが、初回は、副作用などがないか様子を見るために、数日の入院が必要となります。これらについては、もっとはっきりしたことがわかったら、また、このブログでお伝えしようと思っています。

 

今回も、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。