明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常204 猛暑の夜に思うこと

こんにちは。

連日「真夏日」が続いていますが、熱中症対策等は万全でしょうか。この1週間で。緊急搬送された患者は全国で1万人にものぼっているそうです。熱中症の恐いところは、数日間かけてじわじわと体調が悪化し、気がついた時にはかなり重症化してしまっているというケースがかなりあることです。だからこそ、室内でも起きるんですよね。倦怠感や発熱を感じたら、単なる夏バテや風邪と思い込まず、自分の体調に十分に気を配る必要があるようです。

国語辞典等によれば、「好天」とは本来「よく晴れた天気で、何かをするのに都合の良い天気」という意味だそうです。しかし「何かをする」と言っても曖昧で、むしろ雨天や曇り空の方が好ましいこともあるでしょう。そして何より、毎日のように熱中症警戒アラートが出て、「できるだけ外出は避けるように」などという注意喚起がなされている状況は、単純に「好天」とは言えないような気がします。「今日も良い天気ですね」などというのは、それこそ能天気な挨拶ですよね。

 

気象庁のデータによると日本の平均気温は、過去30年間にわたってほぼ一貫して上昇し続けているようです。そして、長期的には100年あたり1.30℃の割合で上昇しています。こうした傾向は日本に限られたことではなく、世界全体で見ても、過去100年で0.74℃の割合で上昇しています。特に1990年代以降、高温となる年が頻出しているのです。

日本の平均気温  細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。 基準値は1991〜2020年の30年平均値。


もうひとつデータを紹介しましょう。東京における猛暑日(最高気温35℃以上)と熱帯夜(最低気温25℃以上)の各年の日数を見ると、とくに最近10年ほどの間に熱帯夜の日数が多くなってきていることがわかります。

年次ごとの推移(東京)


「最近暑い日が多くなったなあ」「寝苦しい夜が増えたなあ」と感じる人は多いと思いますが、ちゃんと統計的にもこのことは証明されているのですね。

地球温暖化の脅威が叫ばれ始めてから随分年月が経っていますが、これらの数字を見る限り、状況はまったく好転していないようです。ちなみに、IPCC(Intergovernmental Panel of Climate Change:国連・気候変動に関する政府間パネル)が2013年に公表した第5次評価報告書は、「20世紀半ば以降、観測されている温暖化の主な原因は人間の影響である可能性が極めて高い」と結論づけています。また同機関の第6次評価報告書(2022年)によると、人為的なGHG(温室効果ガス)排出量は、2010年以降世界的に増加しているそうです。排出量のうち、都市域での人間活動に原因を特定できる割合が増加しているのです。もちろんCO2排出量削減の取組は色々と行われていますが、現状では、増加量が削減量を上回っているのです。ものすごく荒っぽい言い方をしてしまえば私達は目の前の日常的な快適さ、便利さを求めてきた結果、長期的には地球という星を次第に住みにくいものへと変えつつあるということになるのです。現代人は、自分で自分の首を少しずつ締めているのかもしれません。

この状況を一気に解決することは、正直言ってかなり困難なことでしょう。もちろんCO2削減に向けてのさまざまな取組はもっと促進するべきですが、ひょっとすると最終的には、人間の生活空間を自然環境の激変から完全に遮断してしまう必要が出てくるのかもしれません。つまりいわゆる「ドーム型都市」のようなものの建設が必須になるということです。

これは、人間が居住、活動する都市空間を完全に巨大な半球型のドームで覆ってしまい、すべてをその中だけで行うようにする、というものです。昔のSF小説にはしばしば登場していますし、月や火星等に人類が居住しようとすればおそらくこのようなタイプの空間が建設されることになるのでしょう。そして、これが地球上で人類が生存していくために必要なものとして、現実味を帯びてくる可能性があるのです。ちなみに、1980年代後半には人工的な閉鎖生態系が実現可能かどうかテストするために「バイオスフィア2」(収容人数は8人)という施設が建設されたことがあるそうです。

もちろんドーム型都市には大きな課題があります。ひとつは、建設および維持管理に莫大な費用が掛かることです。費用面でひとつだけメリットがあるとすれば、現在のように個々の建物で空調を行うよりも、全体で行う方が効率的になる可能性はあります。ただ、それにしても、全体でどのぐらいの費用が掛かるのか想像もできません。

もうひとつは、ドーム外の環境をどのようにしていくのか、という点です。SFでは完全に砂漠化してしまい、動植物が住める環境とは程遠いものになった世界が描かれています。果たして、地球という星をそんな風に作り変えてしまってよいのか、それともドーム外の自然環境にもある程度の配慮を行うのか、意見が分かれるところかもしれません。個人的には、「人類さえ良ければそれでよい」という発想には大変違和感を覚えざるを得ません。

ドーム型都市の完成予想図(東京都ホームページより)


まあ、私達が生きている間にそんな世界になるとは想像できませんが、近年の環境の激変をみると、そろそろ本気で問題の解決に向けての本格的な議論し始めるべきなのかもしれない、と思ってしまうのは私だけでしょうか。

 

今回も、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。