明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常231 今、私達にできること

こんにちは。

 

今回は、前回に引き続き、能登の将来について書いていく予定でした。しかしそれは例えば5年後、10年後を見越した時に描くべき将来像です。他方、地震から間もなく1ヶ月が経過しようとしている現在でも、今すぐにやらなければならないことが山積みの状態で、多くのことが未解決のままです。そこで今回は、輪島や七尾といった能登半島の中では比較的大きな街について触れる前に、現時点で私達ができること、するべきことについて、軽く触れていきたいと思います。

 

といっても、災害救助等について特殊な技能を持ち合わせていない私達にできることと言えば、ボランティアとしての比較的単純な作業や被災者の心に寄り添うような人道的支援、そして、経済的支援ぐらいのものでしょう。

このうち、ボランティアによる支援に関しては、ようやく能登の各地域や金沢市等で受け入れの準備が整いつつある段階です。おそらく全国からの問い合わせは相当数にのぼっているものと思われますが、現地入りしたボランティアを統括し、効率よく働いてもらうための指示を行っていく組織的な体制がなければ、混乱は深まるばかりです。個人の勝手な判断で現地入りすることは、かえって迷惑をかけるということは肝に銘じておかなければならないでしょう。もちろん、杉良太郎さんやMISIAさんのように、現地に出かけて炊き出し等積極的な支援を行っている人もいらっしゃいますが、彼らはきちんと自治体と連携を取り、事前に綿密な打ち合わせをしてから現地入りしています。結局、私達が個人で出来ることとなると、どうしても限られてしまいますよね。

また、宿泊や食料調達の用意も欠かすことはできません。 これらを地元に期待することは酷というものです。自分で準備をできるのかがポイントになるはずです。

以上のことは、阪神淡路大震災や東北大震災の経験から学んだはずなのですが、いざ、新たな大災害を目の前にしてしまうと、人の心は揺れ動いてしまいます。こんなときだからこそ、冷静な心を失わないようにしないといけないのですね。

そこで、経済的支援に焦点が当てられます。

皆さん、義援金と支援金の違いってご存じでしょうか。マスコミによる報道等をチェックするまでもなく、現在、さまざまな団体がさまざまな方法で経済的支援を募っていますし、有名人の中には、それに応えて多額の支援を申し出ている人も少なくありません。しかし、あまりにも多くの支援方法があるために、どのルートを利用すればよいのか、迷っている人も多いのではないでしょうか。

ここで、そのすべてを詳細に紹介することは、あまりにも膨大な分量の文章になってしまいますので割愛しますが、大枠として「義援金」と「支援金」の違いについて少し説明しておきたいと思います。

まず、義援金とは被災された方一人ひとりに分配されるお金です。

義援金の多くは非営利組織や自治体、内閣府などが窓口となり、通常はいったん被災自治体に送られ、「配分委員会」のもとに被災者に対し「公平・平等」に配分されます。

以下に義援金の特徴を記載します。

義援金は被災者に分配されるもので、ボランティア団体や行政が行う復興事業や緊急支援には使われない。

・被災した県が設置した義援金分配委員会によって、寄付金の100%が公平・平等に被災者に配布される。

・被災者数などの正確な情報を把握した後に均等に分配される。配布作業も混乱する被災自治体が担当するために負担がかかる。(以上、農林水産省のサイトより)

今回の震災に関して言えば、日本赤十字社やゆうちょ銀行の義援金送付などがその例です。義援金のメリットは「公平性が高い」ということ、デメリットは「被災者へ分配されるまでに時間がかかる」ということです。自治体や配分委員会などが間に入り、被災者へ公正・平等に配られます。公的機関が責任を持つことは、支援する人の安心感にもつながるでしょうが、一方で、義援金が被災者のもとへ届くまでには時間がかかってしまうのです。

公的機関が扱うのですから事前に決められたプロセスに従って被災者に確実に届けることが最重要となりますので、どうしても、スピーディというわけにはいかないのです。

つまり、義援金は被災者の手元に届くまでに少々時間はかかるものの、「安心できるルートで確実に被災者へ届けたい方」に向いています。

他方、支援金とは、支援金とは被災地で活動する非営利団体に送る寄付金のことです。

支援金の特徴として以下のようなことが挙げられます。

・各機関や非営利団体の判断によって、人命救助やインフラ整備などの復旧活動に速やかに役立てられる。

・支援金の使い道は支援先団体に任せることになる。各団体ごとに支援金の使途や収支の報告を行なって透明性を確保している。

被災者からのニーズに対して、各機関や団体が各自の判断と責任において柔軟に使用できるためすぐに活用される。(日本財団のサイトより)

まとめると、以下のようになります。

・支援金は被災地で活動するNPO法人NGO法人に送る寄付金

・各機関や非営利団体、ボランティア団体の判断によって、人命救助やインフラ整備などの復旧活動に速やかに役立てられる

・各機関や団体が各自の判断と責任において柔軟に使用できるためすぐに活用される

「被災地で支援する活動に役立てられるお金」です。「被災者一人ひとりに直接分配されるお金」である義援金とは、違った意味を持つのです。

出典)日本財団のサイト


また、今回の被災者支援で目立っているのが、いわゆる「ふるさと納税」を利用した支援です。これは、各自治体が募集をかけているもので、お金は直接各自治体に入りますが、それをどのように利用するのかは、概ね各自治体の判断に任されています。ただし、あくまで復興支援ですから、返礼品などはありません。確定申告の際に控除の対象としてカウントされるのみです。どの自治体が現在募集しているのかは、「さとふる」など、ふるさと納税のサイトを見れば、わかります。ただ、石川県に関して言えば、ほとんどすべての市や町が募集していますので、「どこでもいいから、被害のひどそうなところに。・・・」と思っている方は、迷ってしまうかもしれません。

また、これに関しては事務作業そのものが、被災自治体の職員にとっては大きな負担となりますので、今回の震災とはまったく無関係の自治体が代理で事務作業を行う「代理寄付受付」を開始したところもいくつかあります。これも自治体同士が連携し合う立派な被災地支援と言えるでしょう。これに関しては、例えば「ふるさとチョイス」というサイトを見れば、どこの地自体がどの自治体の支援金募集業務を代理で行っているのか、よくわかります。目立つのは、東北地方の自治体が手を上げている例が多く見られることです。先般の震災の際にお世話になった「お礼」といったところでしょうか。

tps://www.furusato-tax.jp/feature/a/furusato-choice_column-vol8

 

さて、ここまで見てきたように、一口に経済的支援と言っても様々な方法があり、それぞれ性格を異にしているようです。ですから、私達は自分がどのような支援をしたいのか、その目的意識をはっきりと持ち、それに合わせて方法を選ぶ必要があるのです。

また、この復興支援はおそらくかなり長期的に続けていく必要があるでしょうから、長い目で見た時に何ができるのかを考える必要がありますね。

 

現在まで、私自身の知人や友人に亡くなった方はいらっしゃいませんが、家族が大きな被害を受けた人、実家が全壊または半壊など深刻な損傷を被った人は相当数にのぼっています。そうした人々にはできるだけのことはしていきたいと思っていますし、翻って、地震大国である日本に住んでいる以上、決して他人事ではないことを改めて強く認識している次第です。

 

今回も、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。