明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常04  病名は公表すれべきか?

こんにちは。

 

前回、私自身の経験として、病名や病状をかなり早い段階で公表したことで、逆に、自分の気持ちを落ち着かせることができた、と書きました。

でも、病名を公表することにためらいを感じる人が多い、ということもよく理解できます。病気にかかることそのものは、恥ずかしいことではないのですが、それを聞いた周囲の反応が怖くて、自分だけで内にこもり、いろいろと思い悩んでしまう人も少なくないでしょう。

私は、そうした人に無理に公表するべきだ、と言うつもりはありません。

ただ、がんの治療となると、どうしても一定期間の入院が必要になるでしょうし、ずっと病気を隠し続けることには無理があるのではないでしょうか。

とくに、現に仕事をしておられる方は、その関係者にきちんと状況を説明し、正しく理解してもらうことこそが、スムーズな仕事の引き継ぎ、そしてある程度治療が終わった後の復職を可能にするのです。

 

がんにかかった人は、みな、「がんが必ずしも死に至る病ではない」ということを知っています。その昔、テレビドラマの主人公が白血病にかかると、それはすなわち、遠くない将来に死を迎える、というバッド・エンドを意味していました。いかし、池江璃花子選手の例を出すまでもなく、がんは着実に「治る病気」になりつつあります。(残念ながら、私が罹患している多発性骨髄腫は、いまだに「完治」という言葉と無縁なのですが)

そのことを知ってもらい、必要以上に気遣いをすることなく、人との付き合いを進めることができれば、ずいぶん気持ちは楽になるのではないでしょうか。

何よりも怖いのは、憶測が憶測を呼び、本人のいないところで、「あること、ないこと」含めていろいろと噂されたうえに、その噂が独り歩きしてしまうことです。

以前、いくつかの企業でインタビューを行ったことがあるのですが、仕事の関係者には一斉メールで知らせた、という人がいる一方で、最低限のことしか言っていない、という人もいました。何事にも、自分のペースというものがあるのでしょうね。

いずれにしろ忘れていただきたくないのは、一人で悩むより、無理のない範囲でよいから、ネットワークを作り、その人たちの力も借りて、仕事復帰、社会復帰をめざすほうが、きっと、気持ちは随分楽になる、ということです。

 

あなたは一人ではありません