明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常15 退院と入院の反復

こんにちは。

毎日、とんでもない暑さが続いていますね。まだ7月は10日間も残っているし、その後は8月です。(当たり前ですね 汗) 「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが、そうだとすると、まだ2か月も暑さが続くことになるわけで、早くもちょっとうんざりしてしまいます。こんな時、「病院は快適な空調だったなあ」などと思い出してしまったりします。だからといって、また入院したいとは決して思いませんけどね。

 

さて、前回の投稿で、またもや一時退院したことを紹介しました。しかしそれはほんの2、3日のことで、すぐに再入院することが決まっていました、あまり入院経験のない方は、「何故そんなに細切れで出たり入ったりするのだ?」という疑問を持たれるかもしれませんね。

近年、多くの病院では一人の患者が長期入院することをなるべく避けようとする傾向があります。胃がんや大腸がんなどで入院される方も、2か月経たずに退院されることが珍しくありません。私が入院していた病院では、入院期間の上限を原則3か月として、それ以上続く場合は、担当医師が院長にそれを報告・説明する決まりになっていたようです。例えば、治療が口径薬の服用や定期的な注射だけになった場合は、まず間違いなく退院を勧められます。また、リハビリだけになった場合も、通院またはリハビリ専門病院への転院を求められるのが普通です。

これには、病院側としては、常にある程度のベッド数を空けておきたい、という事情に加えて、病院経営の観点から、回転率(といって良いのかどうかわかりまえんが)を上げて、収益率向上に結びつけたい、という事情が働いているのです。現在、全国の病院の30%以上が赤字に陥っているというデータもあります。また、本業である医業の経常収支だけを見ると、半数以上の医療機関が赤字となっているのです。つまり、その経営状況は、私たちが思っている以上に、かなり苦しくなっているのです。かといって、緊急入院などに備えるためには、ベッドを満杯にするわけにはいきません。となると、なるべく新規入院患者を増やして、そこであがってくる診療点数を少しでも上昇させようとする、ということになってくるわけです。ぶっちゃけた言い方をしてしまえば、大きな治療をしていないのに、ベッドを専有している患者は、「お金をあまり落としてくれない」ということになってしまうのです。これが現実という奴ですね。

ただ、患者さんの中にはこうした一時退院→再入院を嫌がる方もいらっしゃいます。とくに高齢者で、同居家族がいない(あるいは高齢の家族しかいない)方の中には、毎日3回きちんと食事が出てきて、ベッド周辺の掃除もしてくれる病院の方が、身の回りのことを自分でやらなくてはいけない自宅よりも居心地がよい、と思われる方が少なくないようです。どのように折り合いをつけていくのか、これからますます高齢化が加速する中で、日本全体の医療・介護の問題として、考えなくてはいけないのでしょう。

 

私自身は、病院に倒産されては困ってしまうので、というわけではありませんが、とにかく主治医の指示通りに出たり入ったりしていました。そして、9月中旬、いよいよ自家移植を行うために再々入院しました。今回はいきなり無菌室へと案内されましたが、それは、抗がん剤などの影響によって私の免疫力がかなり低下していたこと、そして、自家移植という処置が細心の注意を払って行われるべき治療行為であることを示しているのです。

 

今回はここまで。次回は自家移植の具体的内容を紹介していきます。

なお、今回紹介した病院経営の実態などは、コロナ禍以前の調査に基づくものです。また、お金の問題だけではなく、医師不足や看護師不足に悩む医療機関も非常に多いということも、お伝えしておきます。

 

本日もありがとうございました。