明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常

元大学教員が綴るこれまでの経過と現在 。なお、入院と本格治療の経験については、00から34あたりまでをお読みください。 。

明日を生きる多発性骨髄腫患者の日常222 京都府立植物園の紅葉

こんにちは。

 

前回、男声合唱がらみの話を書いたところ、その筋?の人達からはけっこう反応を頂きました。さらに合唱関連の旧友にもこのブログをご紹介いただきました。そのおかげで、ここ数日、いつもよりアクセス回数が増えています。私の場合はもともと収益目的で書いているわけではありませんが、それでも、多くの方に読んでいただけるのは本当に嬉しいものです。皆さんありがとうございます。

ただ、このブログは、過去のものを一瞥して頂けばわかるのですが、合唱ネタばかりを取り上げているわけではありません。もちろん、音楽は大好きで、ほとんどあらゆるジャンルについて色々と語りたいことはあるのですが、このブログの方向性は少し異なります。もっとも優先して書くようにしているのは私自身の病気のことについて、そして時事ネタ、さらには日常の中でちょっと気になったことなどを、脈略なく取り上げています。そんななかで、時々音楽ネタも取り上げますので、よろしければ、気長に付き合っていただければ幸いです。なお、更新日は毎週金曜日または土曜日を目指しています。

 

さて、前々回は京都の紅葉の話題でした。紅葉シーズンはいよいよ終わりを迎えようとしていて、これを目当てにした観光はおそらく今週末が最後でしょう。それにしても、今年はコロナ禍明けということもあって、外国人の方の姿が例年以上に多く見受けられました。その中で少し気になったのが、彼らの多くが巨大なキャリーバッグを持ち歩いておられることです。階段の上り下りは大変そうだし、混雑する電車やバスの中では、置き場所に困っておられます。もちろん、外国旅行となると、それなりに荷物が多くなるのは理解できますが、それにしてもそんなに大きなバッグが必要なのだろうか? おして、それはホテル等に預けてくるという発想はないのだろうか? と素朴な疑問が湧いてきてしまいます。

多くの都市や観光地では、中心駅にはこうした荷物の預かりサービスがあります。そして、それをそのままホテルまで運んでくれるところも多いようです。ホテルからのチェックアウトの際も同様のサービスを受けることができます。また、ホテル自身もチェックイン前やチェックアウト後の荷物預かりを実施しているところが数多くあります。こうしたものをうまく利用すれば、いちいち大きな荷物を持ち歩く必要はありませんし、その結果、他の方に不要の迷惑をかけることもないのです。つまり、これはオーバーツーリズムを少しでも緩和する方策のひとつでもあるのです。

ただ、こうしたサービスを実施していることについての広報はどうやらあまり進んでいないような気がします。日本の治安や「安全性」を広く情報発信するとともに、現状ではバスや電車で大きな荷物を持ち込むことは他の方に迷惑をかけることが考えられること、だからこそ、自分のためにも、他人のためにも、こうしたサービスを積極的に利用するよう、もっと多くの観光客に伝えていく必要があります。

数回前の投稿でも書いたことなのですが、オーバーツーリズムを解消するもう一つのもっと単純な手段があります。それは「あまり混んでいない所に出かけるよう仕向けること」です。もちろん、観光客自身がそうした所を探すことも重要です。

そんなわけで、先日京都府立植物園を訪れました。まあ当たり前の話ですが、京都まで観光に来て、わざわざ植物園に行こうと思う人は少ないでしょう。しかし、ここはその名のとおり、四季を通じてさまざまな花が見ごろを迎え、いつ訪れても見事な姿を見せてくれるのです。また、かなり大規模な温室もあり、日本ではあまり見られないような花も咲き誇っています。

そんななかでとくに紅葉が見事なのが、「なからぎの森」と呼ばれるエリアです。中心に池を配したその庭園やそこに植えられている大イチョウは、見事に色づいていました。


ところで、この写真の風景が植物園の中にあるということに、少し違和感を覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。それもそのはず。ここはもともと「半木(なからぎ)神社」という神社の敷地なのです。その森がかなりそのまま残されたところなので、このような風景が広がっているのです。

半木神社は今もここにあります

 

この植物園は、2024年1月1日には開園100周年を迎えるという長い歴史を有しているのですが、第二次大戦後12年間にもわたって、連合軍に接収され、主に将校家族用住宅地として利用されたという苦難を経験したのです。この計画は、当初京都御所近隣を候補地としていたのですが、これにはさすがに京都府が猛反対し、妥協策として、植物園が選ばれたのです。そして、それまで25000本近くあった樹木は、貴重なものも含めて、7割近くが根こそぎ伐採されてしまったのです。そんななかで、半木の森だけは、「鎮守の森」として日本人の精神や信仰心の奥底にある信仰心に大きな意味を持つとしてアメリカ人に対しても丁寧な説明がなされ、かろうじて残され、今に至っているのです。

そんなわけですから、ここは植物園の中でも「特別な場所」なのですね。訪れた皆さん、カメラやスマホを片手に、「嵐山なんかに行かなくても、ここで十分だね」と満足気に話しておられました。

紅葉を愛でるというのは単なるレジャーではありません。鮮やかに色づく木々や落ち葉の様子を眺めながら、季節の移ろい、とくに来るべき冬への思いを馳せる。そのような気持ちの整理を行うための大事な行事だと思うのです。

 

今回も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。